ドラマ「信義」関連の記事を更新しています。「韓国には行ったことがありません」からブログタイトル変更しました。
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チフは、ソルソンがケギョンにいる経緯を聞いて言葉を失くした。

マンボは、毎年カンファドへ渡り、妹ソルソンの消息を知らせてくれていた。
数日前、一年振りにマンボがカンファドへ行くと、ソルソンの姿がなかった。急いで周辺に聞き込んだマン
ボは、ソルソンがケギョンに行ったことを突き止めると、すぐに碧瀾渡(ピョンナンド)行きの船に乗り込
んで、渡って来たばかりの海を再び取って返した。船が港に着くと今度は一目散にケギョンを目指し、訪ね
た先でようやくソルソンを探し当てた。

昨年の秋、ソルソンの夫サンホが落雷により非業の死を遂げた。衝撃を受けた姑は次第に心を病んでいった。
雷が落ちた場所には、サンホ以外にも何人か立っていたが、皆身体の痺れや軽い火傷などで済んでおり、
サンホだけが命を落とすこととなった。
なぜサンホだけが死んだのか。姑は、その理由を追い求め、執着した。
そんな折、姑は一人の女と出会う。姑が「先生」と呼んだその女は、貰い子のソルソンを娶ったが故にサンホは
天誅(てんちゅう)を下されたのだと告げた。喪失の淵に共に立ち、苦しみを分かち合っているソルソンこそが
根源だったと知った姑は激昂し、ソルソンとその両親であるタンジたちを一方的に責めたてて、騒ぎを起こした。
曰(いわ)くつきの女。
ソルソンを貶める噂は一気に広まり、耐えかねたソルソンはカンファドを離れ、知己を頼ってケギョンへと
出てきた。

話を聞き終えたチフはその場を後にした。
狭い路地を何度か曲がりながら歩を進める。その歩みは常よりも大きな歩幅で、身の内から荒ぶる気が、考
えるよりも先に、脚を前へと運ばせる。路地がもう少し広ければ、チフはとっくに走り出していただろう。
が、あと数歩で大通りへ出るという地点で、勢いに乗ったはずのチフの足が唐突に止まった。
そして、打って変わってゆっくりとした足取りで大通りまで出ると、左右に分かれた通りのうち、右手の通
りへと目をやった。その道を行けば、ソルソンが身を寄せているというカヤグムの指導者イェリムの家があった。
チフは俯いたまま、沓の先を左の方向に向けると、ようやっと一歩踏み出した。そうして歩き始めると、歩幅を
大きめに取りながら足を運ぶ。
だが、辻をいくらも行かぬうちに、その歩みは鈍くなった。

ソルソンのことを思わずにはいられなかった。夫との夫婦仲は大層睦まじいと聞いていただけに、その喪失
の大きさは、想像するに難(かた)くない。慣れぬ地で暮らすことになった経緯もまた憂うべきもので、此の地で
暮らすソルソンのことが気がかりだった。

だが・・・
「あの娘の幸せを願うなら、会わぬことだ」
亡き父のその言葉は、チフの脳裏に強く焼き付いていた。

父と己は、捨てられた妹を見つけた。
けれど、連れて帰ることはしなかった。
己もまた、父の言葉が正しいのだと、そのときに悟った。

その言葉は、長らくチフの重い足枷となり、カンファドへ足が向くことはなかった。
だが、今日だけはその足枷が、無いに等しい程軽く思えた。

「ヒョン」
マンボが呼ぶ声がすぐ傍で聞こえ、チフは物思いから覚める。師弟のほうに視線を向けると、気遣わしげな
目とぶつかる。
「どうした?」
一定の距離を保ちながらマンボ兄妹がついて来ていることはわかっていた。チフの問いかけに、マンボは声
を潜めてあごをしゃくる。
「ソルソンが、こっちへ歩いてくる」
反射的に前を見る。通りを歩いている女は数人。子供連れが一人、もう一人の若い女は夫婦だった。チフが
目を走らせたその先に、ソルソンと思しき若い女が歩いていた。
チフは身体が凍りついたように動けなくなった。
目が逸らせない。
すらりとした首筋、整った顔立ちに母の面影を探してみたが、妹と母がうまく重ならない。

ソルソンは凝視するチフに一瞥もくれることなく、その傍を通り過ぎた。

チフは振り返り、妹の後ろ姿を見つめた。
その姿が、雑踏の中に消えていくまで。

ソルソン。
チフと同じ日に生を受けた妹との、十数年振りの再会だった。

<つづく>

二か月以上ぶりに更新(-_-;)
設定忘れすぎて、思い出すのに四苦八苦でした。
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おはようございます♪

いろいろありましたが、ひと段落しましたので元の生活リズムに戻りました。
元に戻ったとはいえ、自分の自由時間が以前よりは少し減ってしまった。
でも、自分の時間が減ったことを嘆いていると前には進めない。
それはもうわかっていることなので、手元に残った自分時間を大切にして楽しむことにします。

更新が止まっている間も当ブログをお訪ねくださった方々に感謝です。
離れている間の不安な気持ちを、随分と支えて頂きました。
ありがとうございました。

「開京想曲」。
ケギョンの通りに放り出してきたチフを回収しにいかねばと思い、続きをあーでもないこーでもないと
書いているのですが全く進まず(^_^;)
私は書くときによく迷い、時間を使い込んでいるなぁと実感。
ここをどうにかせねば(笑)

ひとまず、「戻ってきました♪」の挨拶でしたっ


おはようございます。

長いと思った8月も今日で終わり。
気づけば蝉の鳴き声も何だかトーンダウンしてますね。

8月。
いろいろありまして、PCの前に座る時間がほとんどなくなってしまいました。
隊長のこと、家族のこと、仕事のこと。
これらがいっぺんに状況変化してしまい(或いは変化の兆しあり)、
今は、シンイにあまり触れることもなく日々を過ごしています。

しばらく更新ができそうにないので、取り急ぎそのことを連絡させて頂きます。
落ち着いたら戻ってきますね。

二次の話が途中になってしまい、申し訳ありません。
気長にお待ち頂けると嬉しいです。

ガラケーで、いつも伺っているサイトを時折覗いています。
動画は動かないし、サイトによっては一部しか表示されないこともあり、
ろくな環境ではありませんが、それでもシンイに触れることで気持ちがホッとするのです。
いつまでも触れていたい。
私にとってのシンイはそんな存在なのだと改めて思いました。

それでは、皆様今日もよい一日を


おりーぶ
百日紅_白
(画像お借りしました)

おはようございます。

庭の百日紅(濃いピンク色)が元気です。
ガクアジサイが咲いている隣で、フライング気味に咲き始めたときは驚きました。
「早いってば」

白い花を咲かせる百日紅はまだ咲いていません。
木の位置が日陰にあるからでしょうか。
夏の終わりごろにわんさかと花を咲かせてくれますが、今はまだということで画像をお借りしました。

ギラギラと照りつける太陽に向かって枝を伸ばして咲く様はまさに夏の花。
青い空と白い花、もしくは濃いピンクの花の対比がきれいです。

以前ほどの熱量ではなくなったかもしれませんが、私の頭の中にはシンイがあります。
時間を忘れて楽しむことができる。(時間が足りないと嘆くほうが多いかも)
ありがたいことです。

貴方に、この感謝の気持ちが届きますように・・・


キム・ジョンハク氏の命日に寄せて
ムン・チフが、通りを一人で歩いていた。

そのチフから離れること二丈(約六メートル)。マンボとコンジャが、チフの後ろを歩いている。
先ほどマンボからソルソンの話を聞いたチフは、
「・・・そうか」
と、呟くと、踵を返して門を出ていってしまった。
様子が気になった二人は顔を見合わせたあと、すぐにチフの後を追いかけてきたのだが、
その背中に声をかけることをためらい、結果後ろをついて歩いているという状態だった。
「ねえ、兄さん」
コンジャが隣を歩く兄に話しかけると、マンボが「何だ」と、視線を前に向けたまま応じる。
「チフ兄さん、大丈夫かな?」
「・・・どうだろうな」
前を歩く師兄は、傍を行き過ぎる者と時折肩がぶつかっていた。
らしくない。
そんな姿を目にしたら、「大丈夫」とは到底言えなかった。

「これを頼む」
妹のコンジャとスリバンを立ち上げて間もなくの頃、マンボは師兄チフからある紙を受け取った。
妹と一緒にざっと目を通したあとで、師兄に尋ねた。
「カンファドの?」
「そうだ。その人物の近況を教えて欲しい。お前の手が空いたときで構わない」
つまり、急ぎの用件ではないから、他の者には任せて欲しくないということだと、マンボは理解した。
「わかった。ニ、三日のうちに発つよ。ところで、ヒョン。このソルソンっていう女、何なんだ?」
「ヌイ(누이<妹>だ」
「え?」
「妹だ」
マンボと、その場に居合わせたコンジャが顔を見合わせる。今まで師兄から妹の話を、ただの
一度も聞いたことはない。故に、師兄は一人息子だとばかり思っていた。
と、マンボがあることに気づく。
「それでも、ヒョン。ここにカンファドの宿屋の娘って・・・」
紙を指し示してマンボが問い返す。
「故あって、そうなった」
師兄の表情は暗い。けれど、口調は淡々としていた。努めて平静に振る舞っている。マンボには
そんな風に見えた。詳しいことは訊かず、マンボはひとまずカンファドへ向かった。そして、数日後に
戻ってくると、チフにいくつか見聞きしたことを報告した。
 ソルソンは、カンファド一のカヤグムの腕前らしい。
 請われて、近所の娘たちにカヤグムを教えることもあるそうだ。
 夫婦仲はめっぽういい。オレも見たけど、仲睦まじいもんだった。
 子供がまだできないもんで、願掛けをやってるそうだ。
チフが既知の事柄も、中に含まれていたようだ。マンボはチフの表情からそれを読み取った。
「ヒョン、知ってたのか?」
「幾つかは、父から聞いていた」
「親父さんから?」
「ああ。父は、ソルソンのことを気にかけて、時々人をやって調べさせていた」
師兄の親父さんは去年亡くなっている。親父さんの役割を、師兄が引き継いだということか。
チフが自分たちに頼んできた理由が判ったところで、マンボはふと思い出す。
「ヒョンと妹御。似てるな」
マンボがそういうと、チフは少し驚いた顔をした。
「カヤグムを手入れする妹御と、鬼剣を手入れしているヒョンが重なって見えたんだ。身体つきも
面差しも違う。一見すると兄妹ってわからないもんだけど、ちょっとした拍子に似てるなって思う
ときがあるんだ。妙なもんだな、兄妹っていうのは」
チラリとコンジャを見ると、妹は露骨に顔をしかめていた。男らしい顔の自分と似ているというのが
心外だったらしい。
『オレが言ったわけじゃないぜ』
マンボは首をひょいとすくめて妹の睨みを避ける。
「母に・・・」
と、チフが呟くように口を開く。マンボとコンジャは小競り合いを止めてチフを見た。
「妹は、母によく似ていた」
「ヒョン、会ったことがあるのか?」
「いや。ずっと昔、一度見かけただけだ。亡くなった母によく似ていた」
心に浮かべた妹と母は己の傍に居ない。父も昨年身罷った。詮無いことを考えても仕方ない。
チフは腹に力を込める。
「サジェ(師弟)、ご苦労だった」
「カンファドなんて、すぐそこだ。ヒョン、いつでも言ってくれよ」
マンボが歯を見せてニカッと笑うと、
「飲もう。お前の新しい商売の話を聞かせてくれ」
チフはそう言って、マンボの肩を抱いた。
赤月隊に身を置いたチフと、身を置かなかったマンボ。
「性に合わない」というマンボの考えをチフは尊重してくれた。が、その後会う機会が減り、二人の
間には妙な遠慮が生まれた。
『この一件が、それを消し去ってくれた』
マンボは、そう思っていた。

<つづく>

≪このお話の主な登場人物≫
 ★マークは「信義」のドラマか小説に登場していたキャラ
 〇マークは私が設定したキャラ

○ソルソン(雪松)
「紅楼夢」では、妓楼ソガン亭の主メヒャン(梅香)として登場。
 カンファドの宿屋を営む夫婦の一人娘。
 八歳でサンホと婚姻した。

○サンホ
 ホンサム(紅参:高麗人参)を取り扱う問屋の長男。
 十二歳でソルソンを娶る。

○ミヨン
 ソルソンの母。

○タンジ
 ソルソンの父。
 カンファドで宿屋をいくつか営んでいる。

★マンボ
 表向きは「マンボの薬売り」。裏の顔は、ケギョンの情報を掌握しているという
 噂の手裏房(スリバン)の頭目。

★コンジャ(→名前は私が勝手につけています)
 マンボの妹。
 兄の右腕としてスリバンを支える。

★コサ(白い人)→名前だけは台本に載っていた。
 スリバンの一味。
 幼少の頃からスリバンに属していた(という私が考えた設定)

★ムン・チフ