運命が見える右手

ここでは、「運命が見える右手」 に関する記事を紹介しています。
今はもうないサントリーのミステリー大賞を受賞した作品のドラマ化。
原作は一度読んだことがあるんですが、やっぱり内容はかなり違っていました。
どっちがいいかって聞かれると・・・ドラマのキャラがよかったのでこっちです(笑)

【あらすじ】
沖縄のある島に住む水嶺花梨(小西真奈美・23)は祖母ヤエ(南田洋子)とともに
海で亡くなった子供の葬儀に参列する。

「オバア、私には救えたかもしれない。
 賢吾くんの手に触れていたら、あの子を助けてあげられたかも・・・」
「花梨、あんたには運命を変える力まではないんだよ」
「でも・・・」
「あんたわね、その人に迫ってくる悲しい出来事を見ることができるだけ。
 変えられない運命なら見ないほうがいいの」
「お母さん、オバアはああいうけど私は変えられるものなら変えてみたい。
 その人に迫っている悲しい運命を。
 だってあたしには人には見えないものが見えるんだから・・・」
(花梨は自分の右手をじっと見つめる)

新宿・歌舞伎町。
拓人(柏原崇・26)
『この頃の花梨のことを俺は知らない。
 俺はそのころ花梨が暮らしていた島から遠く離れた東京の新宿で、刺激はあるようで
 何もない毎日を・・・ただ何となく繰り返しているだけだった
クラブ「ココ・ブランカ」の用心棒として働く拓人。
客が暴れたりしたら外へ連れ出して解決したり、店の女の子を送り迎えする日々。

ある日店の女の子から店が終わったらちょっとつきあって欲しいといわれる。

拓人
『・・・でもそれは、確かにあの時2人に近づいていた。
 俺たちは知らなかったんだ。これから先もっと大きな運命の波にのみ込まれることを』

花梨はオバアと2人暮らしで、小学校の先生をしている花梨。
絵の時間に子供たちから「先生は絵を描かないの?」と聞かれる。
先生のお母さんはずっと昔に死んでしまったから顔を知らないのと答える花梨。

さとうきび畑を掘り返していた工事関係者が白骨死体を探り当て、警察を呼ぶ。
花梨の祖母ヤエは知り合いから、畑で白骨死体が出たと聞き動揺する。
頭に穴が開いていたから殺されて埋められたんだと駐在が大騒ぎしているという話に
ヤエは目の前が真っ暗になり・・・

花梨はオバアが倒れたと聞いて自転車で島の診療所に駆けつける。
心配する花梨に先生(田村高廣)は過労だから大丈夫と安心させて、授業を抜けてきた
花梨を帰らせる。

花梨は母のお墓に行き、祖母を守ってねとお参りする。

沖縄県警では白骨死体が身につけていた服のポケットから航空チケットの半券がみつかる。
日付は1980年7月28日、名前は小平恒夫、頭部に残る傷跡から他殺と思われるが、
既に時効は成立している。
小平恒夫は23年前に逃げた女房のところへいくといって大阪の自宅を出たまま消息を
絶っていた。それで妹が大阪府警に捜索願いを出していた。

刑事(田山涼成)は「23年前か・・・俺があの島の駐在だったころだ」とつぶやく。

ヤエはうなされて花梨を呼ぶ。
花梨は「オバア、あたしはここにいるよ」と思わずヤエの手を握る。
そのときネオンが輝く見知らぬ街や光るナイフ、そして瀕死の祖母にすがりついて泣く
自分が瞬時に見えてしまい、思わず手を離す花梨。

一晩診療所に泊まることになったヤエを置いて家に帰る花梨。
ヤエは先生に花梨が自分を置いて島を出る夢をみたと話すけれど、先生はそんなことは
ありえないと笑う。
「先生・・・あの時あたしが決めたことが・・・間違っていたんじゃないでしょうか?」
「あのとき?」

花梨が生まれたとき、本当はヤエは死産にして欲しかったようで・・・

先生はヤエに、あの時あれが間違っていたと思ったら、間違った場所まで戻らないと
どんどん間違ったほうに行って、やがて獣道に入ってしまうと・・・

花梨はオバアの手を握った時に見えた映像が気になって眠れなくて・・・

翌日診療所にいった花梨はヤエが退院したときいてすぐに家に帰るが、ヤエはちょうど
タクシーに乗って出かけてしまう。
「しばらくの間出かけてきます。心配しないでください」と書き置きを残して・・・

そこに駐在が沖縄県警の刑事を伴ってヤエを訪ねてくる。
花梨は祖母はおそらく空港へいったと思うというと、空港まで追いかけていく刑事たち。
ヤエが羽田へ向かったと聞き、一旦県警に戻る刑事たちとは反対に花梨は学校に休暇届け
を出してヤエの後を追いかけようと決心する。

ヤエを捜すためにアルバムの写真を抜いていこうとしたとき、自分が先生になったばかり
の頃の写真が一枚抜けていることに気づく花梨。

東京で。
拓人はホステスのエリカからストーカーにつけ狙われているから、誰がつけているのか
確認してほしいと頼まれる。
タクシーで帰ったエリカのあとに、拓人もタクシーでマンションに入る彼女を確認する。
エリカから電話が入り、怪しいヤツはいなかったと報告する拓人。
安心したエリカはは拓人に「拓人なら部屋に上がってきてもいいよ」と軽口を叩く。
「拓人ってピアノ弾けるんでしょ?あたしがもし死んだら追悼の曲でも弾いてよ」
冗談をいいながらエリカが自分の部屋に入ったとき・・・部屋の中が荒らされていて、
急いで拓人を呼ぶ。

花梨は友人のアユミを頼って東京にやって来る。
何の手がかりも持たずにやってきた花梨に心配するアユミ。
アユミはふと花梨のカバンを目にして、小さいシーサーのペアマスコットを見つける。
子供の頃から持っていたお守りのようなものらしく・・・

花梨は羽田空港のタクシー乗り場で手当たり次第に声をかけてオバアの行方を捜す。
その羽田空港で有名な指揮者の桧山とすれ違う花梨。
ヤエを乗せたというタクシーの運転手がみつかり、その運転手にヤエが降りたところまで
連れて行ってもらう。
そこは普通のマンションで、ヤエはどうやら手紙に書いてあったこのマンションの住所を
タクシー運転手に告げたらしい。

新宿東警察署に沖縄県警の刑事が休暇をとってまでやってきていた。
協力を依頼するが、情報はとてももらえそうになくて・・・

拓人はマンションの周辺で見張りをしていた。
ホステスのエリカから食事にいこうと電話で誘われて部屋に向かう拓人。
マンションの入り口に立っていた花梨が会釈するので、思わず拓人も会釈する。
吸っていたタバコを道に捨ててマンションに入ろうとする拓人を追いかけてきた花梨。
花梨は拓人の吸殻を拾って「はい」と差し出す。渋々受け取る拓人。
「あの、すいません。昨日もここに来てましたか?」
「え?」
「あの、実は昨日の5時ごろここにこの人が・・・」
と写真を差し出す花梨に
「あのさ、俺ば別にヒマだからここにこうしているわけじゃないんだ。
 それに昨日のその時間ここにいなかったし」
「あ・・・そうですか。どうもすいませんでした」
ペコリとお辞儀をしていく花梨。吸い殻を見つめながら
「あの・・・さ、それでもいいんなら写真ぐらいみてもいいけど」
慌てて拓人のそばにかえってくる花梨。
「お願いします!私祖母を捜しているんです!」
拓人に写真を見せる花梨。
「・・・やっぱり、東京の人間じゃないと思ったからさ。
 普通目があったぐらいでお辞儀なんかしないよ、見ず知らずの人に」
「・・・そうですか」
「うん、でもいいよそういうフレンドリーなのも」
写真を返してサッと吸殻を捨ててエントランスに入っていく拓人に、慌てて吸殻を拾うけど
間に合わない花梨。

拓人はエリカの部屋に入るが声をかけても応答がない。
「エリカ?・・・入るぞ」
断って中に入った拓人が見たものは・・・

拓人は慌てて部屋の外に出てマンションの出入り口にいた花梨に大声で叫ぶ
「なあ!誰か出てくるの見なかったか?」
「え?」
「見た、見ない、どっち?」
「見なかったけど・・・どうしたんですか一体?」

エリカは部屋で刺し殺されていた。
捜査をするのは新宿東警察で、沖縄から来ていた刑事に応対していた刑事たちだった。
第一発見者の桧山拓人と一緒にいた、水嶺という名前に聞き覚えのある刑事たち。

警察で花梨は沖縄で出会った刑事と再会して驚く。
刑事のほうも花梨が東京にきていることに不審を抱いて花梨に小平恒夫のことを聞く。
「小平って?」
わけのわからない花梨に、刑事は小平恒夫は島で見つかった白骨死体の身元で、ヤエの
二番目の夫だと話す。
しかも小平はヤエに会いにいくといって消息を絶っていることを。
花梨はやっと刑事がなぜヤエに会いにきたのか知る。

同じ頃に取り調べが終わり、出てきた拓人は考え込んでしまっている花梨を見かける。

花梨をおいかけてきた拓人は、花梨と話していたのが沖縄から来た刑事で花梨の祖母を
なぜか捜していることを知る。
「それで見つかったのか、おまえのおばあさん?」
「・・・」
「そっか、あのマンション以外に行きそうな場所とかわかんないの?」
「わからなくもないけど・・・」
そういって花梨は絵を描き始める。

拓人に電話が入り、店のマネージャからエリカが殺されたときにそばにいたのかと聞かれ、
詳しい話が聞きたい、客への対応やキャストの動揺も抑えたいからすぐ店にきてくれと
頼まれる。
「はい、わかりました」と返事をする拓人。

「これ、どこかわからない?」
花梨が差し出した絵にすぐ反応する拓人。
「あ、これ歌舞伎町だよ」
「歌舞伎町?」
「うん。あ、なんなら連れてってやろうか?これから」
「ホントに?」
「あ、でもちょっと待っててもらわなきゃいけないけど」
「あ、わかった!」
喜んで拓人のあとをついていく花梨。
「あ、そうだ。俺桧山拓人、お前の名前は?」
そういって握手をしようと右手を差し出す拓人。
花梨はその手を握ることができず
「水嶺花梨」
とだけ名乗る。
手をひっこめながら「そっか」とだけ言う拓人。

監視カメラがある控え室で、マネージャ(佐々木蔵之介)にエリカをつけ狙って
いたストーカーがいたらしいこと、自分が疑われているみたいだと拓人がいうと
「お前にそんなことができるわけないよ」
といってくれるマネージャ。
「他に・・・エリカから聞いてたことは?」
「他に?」
「何でもいいからエリカと話したこと思い出せ。
 そこから犯人につながる手がかりがみつかるかもしれないだろ?」
「いや、あとは別に何も」
「・・・役に立たないやつだな」
「・・・すいません」

店に入ってきたママ(真矢みき)は花梨がホステスの面接にきたのかと勘違いする。
今日はゴタゴタしてるから帰ってというママの言葉に、戸惑っている花梨。
ママが気を利かせてここまで来た交通費と、一万円を花梨に握らせようとする。
そしてママが花梨の右手にお札を握らせたことでママの未来を見た花梨。

ナイフで刺されるシーン、そしてママが驚いているシーンを。

「じゃあね」そう言って花梨の前を立ち去ったママはマネージャのところにいって、
面接の女の子を返したとマネージャに話す。
マネージャは今日は面接する予定ななかったといい、マズイという顔をする拓人。
そこへ花梨がやってきて・・・
「あの・・・やっぱりこれ受け取れません」
そう言って机にお金を返す花梨。
拓人は2人に、この女の子はエリカのマンションの前で知り合った子だと説明する。
「エリカの?」
不思議な顔をするマネージャ。
「あの・・・」
とママに向かって話しだす花梨。
「気をつけて下さいね」
「え?」
「気をつけて下さい」
それだけ言ってペコリとお辞儀をして店を出て行く花梨。
拓人も「あ・・・すいません」と花梨を追いかけて出て行く。

「・・・今のは脅迫ですか?」
マネージャとママが監視カメラを見ている。

早足で店を出ようとする花梨を
「待てよ!何だいまの?」
「何って・・・」
「からかってんのか?」
「そんなんじゃない!」
「じゃあ、何なんだよ」
「何とかしたいだけ。あたしが何かをすれば、変わるかもしれないから」
真剣な花梨の表情に拓人は・・・

2人で新宿のネオンを見つめながら花梨の絵に似ているだろ?という拓人に頷く花梨。
「でも、なんでオバアはこんなとこに・・・」
「それは直接会って聞きなよ。歌舞伎町にいることは確かなんでしょ?」
「うん・・・」
ネオンを見つめながらぼんやりしている花梨を見つめる拓人。

マネージャはエリカを襲った犯人の一味らしく、花梨をエリカとつるんでいたと勘違い
してしまった様子。

花梨はアユミに電話をするが、アユミは今日は彼がきてるから帰ってこないでと嬉しそうに
言うので困ってしまう花梨。
道を歩いていた花梨はいきなり両脇を怪しい男に捕まれて、連れていかれそうになる。
コンビニで買い物をしていた拓人は慌てて花梨のところにやってくる。
「あの、すいませんあの、この子どこに連れていくつもりですか?」
「どいてろ」
払いのけられた拓人は後ろから男たちを襲い、カリンの手を引っ張って逃げる。

その時花梨は拓人の未来に起きる悲しい出来事を見てしまう。
有名な指揮者である桧山の遺影を抱く拓人を、血を流して倒れている桧山を抱く拓人を。

何とか逃げおおせた拓人と花梨。すると花梨は唐突に
「ねえ、あなたのお父さんて指揮者の桧山恭一郎なの?」
「・・・誰から聞いたんだ、そんなこと」
途端にぶっきらぼうになる拓人。
「誰からって・・・」
「そんなのお前に関係ないだろ」
「関係なくない、あなたのお父さんに命の危険が迫ってるの」
「え?」
「お願い、注意するように伝えてあげて」
「ちょっと待ってよ、何それ?命の危険って?」
何も言えない花梨に
「だったらお前が伝えろよ」
突き放すような言い方をする拓人。
「何で?あなたのお父さんでしょ?」
「今はもう赤の他人。っていうかそれ以下の関係だな」
「・・・それ以下」
「この8年間、声も聞いてないし顔も見てない。そういう関係」
「じゃあ会ったほうがいいよ。会わなきゃきっと後悔する」
「しないよ」
「するよ」
「しないって言ってんじゃん」
「でも・・・」
この話はこれで終わりたい拓人が送っていくと花梨に言う。
「どこ泊まってんの?どこ?遠慮するなよ」
「・・・遠慮してるわけじゃない。今日は友だちにゴメンって言われちゃったから・・・」
「・・・泊まるとこないの?」
うなずく花梨に
「じゃあ、うち来るか?」
「え?」
「あ、お前ヘンな想像するなよ。俺はただお前が泊まるところがないっていうから・・・」
「ありがとう!」
「来んの?」
「うん」
「あ・・そう」
警戒されるのかと思ったのにアッサリと泊まるといわれてなんだか拍子抜けした拓人。
タバコを捨ててスタスタ歩きだす拓人を追いかける花梨。
拓人は引き返してきて、花梨に言われる前に吸いガラを拾って歩き出す。

帰宅した「ココ・ブランカ」のママの前にヤエが姿を現す。
「弥生」と声をかけるヤエに驚くママ。
弥生はヤエをマンションに招き入れて話をする。
ヤエは弥生に謝ることがあって来たと話を切り出す。

「23年前にあんたが産んだ赤ちゃんは死産だったって言ったけど、あの子生きてるの」
弥生が産んだ赤ちゃんは羊水を吸っていて息をしないまま産まれたのでヤエは弥生に
死産だったとウソをついたと。
診療所の先生が処置をして赤ん坊を助けてくれたと話すヤエ。

「ごめんなさい、今まで黙っていてごめんなさい」
「ウソでしょ?お母さん」
「ウソじゃない」
「ウソだって言ってよ!」
「ウソじゃない、ウソじゃないのよぉ・・・」

拓人の部屋でベッドを借りて眠る花梨(拓人は床で寝てる)
「ねえ、どうしてお父さんと会わなくなっちゃったの?赤の他人以下の関係なんて」
「聞いたってつまんないよ」
「でも聞いてみたい・・・私にはオバアしかいなかったから、親子ってどんなものなのか
 よくわからなくって」
「死んじゃったのか、二人とも・・・」
「父親はもともといないの」

「またあの男が現われてしまったの」
母の言葉に驚愕する弥生。
「あの男の骨が見つかってしまったのよ・・・時効はとうに過ぎてるけど警察は何が
 あったんだろうって調べるはずよ。だから・・・だからあたし・・・」
「だから何よ、どうしていつもあの男に振り回されなきゃならいなのよ!」
動揺している弥生にヤエは写真を見せる。
「これがあなたの娘の花梨よ」
なかなか写真を見る勇気がない弥生。それでもやっと写真に目をむけて・・・驚愕する。
写真の女の子は、あの日店にやってきた子だと。

「お母さんその人のことすごい好きだったらしいけど、まだ2人とも若かったから結婚は
 認めてもらえなかったんだって」
「・・・若いって、いくつ?」
「お母さんは17で私を産んだらしい」
「17か。そりゃ若いや。で、その母親は?」
「私が産まれてすぐに、海で死んだって」
「そっか・・・俺のオフクロは病院のベッドだったな。8年前に死んだ」
「じゃあお父さんとはそれ以来?」
「オフクロはガンだったんだ。最初に気づいたときはもう全身に転移しててさ、余命1年
 て言われたんだけどそれからオフクロは2年頑張った。
 自分がどんな病気かも知った上でね。
 そんなオフクロのそばになるべく長くいてあげたかった。
 でも、それをあいつは・・・許さなくて」

8年前。
母親につきそう拓人を連れ出そうとする父(大杉蓮)に抵抗する拓人。
今日のコンクールを逃したらウィーンにいけるチャンスがなくなるんだと迫る父に
「そんなの・・・またいつか出れますよ」
「音楽の世界はそんなに甘くないんだ!」
「僕はここにいたいんです。お母さんのそばに・・・ずっと」
「バカな!お前は大バカ者だ!」
「帰ってください、帰って下さい」
見つめあう拓人と母親。

「これでもさあ将来有望なピアニストって呼ばれてたんだ」
「じゃあ、その日はピアノの?」
「うん、あ、でも後悔はしてない。そのおかげでオフクロの最期も看取ってやれたし。
 その分オフクロをほっといたあいつへの怒りは今もここに残ってるけどね」
そういって自分の胸を指す拓人。
花梨は父親との確執の理由を話した寂しそうな拓人をじっと見つめる。

花梨はベッドで眠れないままつぶやく
「親か・・・」
自分に背を向けて床で寝る拓人を見つめる花梨。

花梨はアユミに頼んで桧山の父親の事務所に連絡をとってマネージャの神鳥に会う。
神鳥から桧山が入院していてもう長くないと聞いた花梨は拓人にそのことを伝えに行く。
閉店後の店に行った花梨は、父親の命があと三ヶ月だから会いに行ってあげて欲しいと
病院の住所を渡そうとする。
「あなたに会いにきて欲しいって」
「またからかってんだ」
「そうじゃない!」
「じゃあ、何でお前がそこまでする?」
「私だってこんな役目引き受けるつもりじゃなかった。でも頼まれちゃったんだもん。
 頼まれた以上ちゃんと伝えるしかないじゃない」
「とにかく、俺は行かない」
「でも、いま会っておかなきゃ、もう会えないかもしれないんだよ」
乱暴に持っていたタバコを叩き捨てる拓人
「俺のことはほっとけよ!なあ、いなくなったばあちゃん捜しに来たんだろ?
 そのために東京まで出てきたんだろうが!」
「でも・・このままじゃいけないと思うから、私は変えたいの。
 悲しい運命を・・・少しでもいいほうに変えたいの。
 そうじゃなきゃ・・・そうじゃなきゃ私は何のために・・・」
「・・・出てけよ・・・出てけよ!!」
怒鳴る拓人に店を出ていく花梨。苛立ちをつのらせる拓人。

弥生は花梨の写真をじっと見つめる。
そしてヤエを見つめて酒を飲んだあと、何でもなかったように店へ行く支度をする弥生。

桧山が入院している大学病院に行った花梨。神鳥になれなかったことを詫びる花梨だが、
拓人の近況をあなたの口から話して欲しいと頼まれて病室まで一緒に行く。
けれど病室に桧山はおらず、神鳥に「ありがとう」の書き置きだけが残されていて・・・

桧山が自殺するつもりと知って神鳥と花梨は病院を捜しまわる。
そして屋上で正装をして、一心不乱に指揮をしている桧山を見つける神鳥。
「先生!」
「来るな!これが俺の生き方だ。痛さに苦しみ、衰えて行く姿は誰にも見せたくない」
戻ってくれと懇願する神鳥とそれを見つめる花梨。
そして花梨の背後から拓人がやってくる。
「拓人!」
「何だそのザマは。オフクロは最期まで頑張ったぞ。どんなに苦しくったって泣き言一つ
 言わずに受け入れた」
桧山のほうにどんどん歩いていく拓人。
「3年だぞ、医者から言われた時間より3倍も長生きした。
 それなのに、なんだぞのザマは。あんたもオフクロと同じくらいの意地見せてみろよ」
「拓人、父さんが悪かった。自分がこうなってみて、あの時の母さんのつらさが
 よくわかったよ。お前の強さもな。・・・すまなかったな、拓人」
そういい残して桧山はゆっくり飛び降りて・・・・拓人は非常階段を駆け下りて桧山の
亡骸にすがりついて泣く。

花梨が見た通り、父の遺影を抱く拓人。

桧山は拓人の部屋を出て行った当時のまま残していた。
部屋のピアノの調律も欠かさずしていて、拓人さんがここに戻ってくるのを夢見ていたと
語る神鳥。
雨が降る中をベランダに出る拓人。
外には桧山にたむける花束を持った花梨がいて・・・見つめあう2人。
父の遺影に花を捧げた花梨に「・・・ありがとう」と口にした拓人。
そうしておもむろにピアノを弾き始める。父に捧げるように・・・

花梨
『私は結局・・・何も変えられなかった』
『変える?』
『信じられないかもしれないけど、私には見えるの。その人に迫ってる悲しい出来事が。
 手を握ると、いきなり頭の中に飛び込んでくるの』
『・・・じゃあ俺のことも?』
『オバアは言ってた。変えられない運命なら見ないほうがいいって』
『変えたよ。お前は』
『変えた?私が?』
『俺はお前のおかげでオヤジに会うことができた。変えたんだよ、お前は』
『変えた・・・あたしが』
『お前は変えてくれたんだよ、運命を・・・』

ピアノを弾き終えて部屋の片隅で寄り添う二人。
「俺さ、絶対にオヤジは越えられないと思ってた。大きすぎたんだ。オヤジの背中は・・・
 でも越える必要なんかないんだよな。ただ・・・そこにいてくれればさ。
 もう一度ピアノとつきあってみる。8年前に出なかったコンクール・・・目指してみる」
静かに泣きながら拓人はそうつぶやいて隣にいる花梨の肩に寄り添う。
花梨はそんな拓人の頭をそって撫でてやり・・・拓人がその手を掴んで・・・キスをする。

沖縄県警の刑事はヤエが殺人事件のあった前日にマンションにきていたことをつかむ。

拓人は用心棒の仕事を辞めるために店のロッカーを片付ける。
ちょうどそこへ新宿東署の刑事たちがやってくる。
エリカの件で麻薬取締捜査班が動いていたという刑事。
「この店な、中国マフィアが違法ドラッグの売買に利用してたらしいんだ。
 しかも殺されたエリカが一枚かんでたみたいなんだ」
拓人に探りを入れてくる刑事たち。
「お前、あの女と親しかったんだろ?何か聞いてないか?」
「俺は何も・・・」
「そっか、聞いてたらお前も殺されてたかもしれないな」
立ち去りかけた刑事は、エリカはストーカじゃなくて組織の人間につけ狙われていかの
かもしれないと拓人に話す。
「あいつら必死になって何かを探していたらしいぞ」
不気味な笑いを残して刑事たちは店を出て行く。

自分には関係ないと立ち去りかけた拓人だが、エリカが追悼の曲を弾いてほしいといって
いたことを思い出して、店にあったピアノの中にディスクが入っているのを見つける。
店のパソコンで中身を確認するとそれはやはり麻薬の売買の内容で・・・

ディスクを戻しているときにマネージャが入ってくる。
拓人が逃げるように立ち去るのを不審に思ったマネージャが監視カメラを見るとピアノの
中からディスクをだしている拓人が映っていた。
「・・・灯台もと暗しか・・・」

弥生が店に入ろうとしたとき花梨が店の前を通りがかる。
人気のない屋上に花梨を連れてきた弥生。
「何してたの?」
「待ってるんです。祖母がくるのを・・この街に来るはずだから」
「どうしてそう思うの?」
「見えたんです。祖母がこの街にくるのが」
「・・・見えた?・・・あなたお祖母さんのことが好きなのね」
「たった一人の家族だから。母は生まれてすぐに死んでしまったし・・・」
「・・・寂しくなかった?それで?」
「最初からいなかったから。ただ一つくらい何かの思い出があればよかったかなぁって。
 泣いて抱かれているとか、一緒に海で遊んで・・・」
弥生は思わず花梨を後ろから抱きしめる。
「あなたのお祖母さんはもうすぐ家に帰ってくるわ。だからこんなとこにいないで早く
 帰りなさい。じゃあね」
涙まじりの弥生の声に、振り返った姿に花梨は・・・

弥生のマンションを出てきたヤエは沖縄の刑事に出会ってしまう。

花梨は弥生と別れたあとにマネージャに捕まってしまい・・・

警察の前まで着いた拓人に電話が入る。
「もしもし」
「店のもの勝手に持ち出しちゃ困るな、拓人」
ピアノの中にあったディスクを持ち出したことがバレていた。
「すぐ返しにこい。ここにはお前の友だちもいるから」
マネージャの声のむこうから花梨の必死な声が聞こえる。
「拓人!来ちゃダメ!」
花梨を人質にとられたことに動揺する拓人。

結局警察の前で引き返して店にむかう。
その拓人と入れ違いに警察までやってきた刑事とヤエは拓人が急いでいるのを不審に
思い・・・

弥生は店に入って花梨が人質になっているのを見て驚く。
すぐに拓人が店に入ってきて・・・ママまでも一味だったことを知る拓人。
「さ、持ち出したモノを返してくれ」
「その前に花梨を寄越せ、彼女関係ないだろ」
「わかってないようだなぁ自分の立場が」
拓人の背後から男たちが拓人に襲いかかる。
「いやぁ やめて!拓人!」
花梨が動かないように捕まえている弥生。
「この2人をどうするつもり?」
「こうなってしまった以上は生かしておくわけにはいかないでしょう」
すると弥生は花梨を縛った縄を解き始める
「この子だけは助けてあげて」
「そんなことができるわけない。組織に歯向かうつもりですか?」
弥生は聞かず、花梨を逃がそうとする。
「逃げて、早く!」
花梨は一人では逃げられないと捕まっている拓人にすがりつく。
「なら、2人一緒に死んでもらいましょう」
アッサリというマネージャ。

拓人はマネージャがエリカを殺したことを悟る。

それでも弥生は花梨を助けて欲しいとマネージャに懇願する。
スキをついて拓人が抵抗するがとても逃げきれず・・・万事休すとなった状態で
警察が麻薬取締り容疑で乱入してくる。

拓人は結局ディスクを警察に届けていた。
そのことを知ってマネージャは激怒。

沖縄の刑事と一緒にヤエもやってきて、やっと祖母に会えた花梨。
弥生も連行されることになり、洗いざらいしゃべるという弥生に激怒したマネージャが
警察のスキをついて弥生を狙い、それを見ていたヤエが弥生をかばって刺される。

「オバア!」
呆然とする弥生。

ヤエを乗せた救急車に一緒に乗りこむ花梨と拓人。
「オバア、どうしてあの人のことを・・・」
「花梨、島に帰ろうね・・・あたしたちの島に・・・」
「うん、帰ろう。一緒に帰ろう、オバア」
けれどヤエは亡くなってしまう。

花梨は東京拘置所に弥生を訪ねていく。
沖縄県警の田牧からヤエが弥生のところにいたと聞いた花梨。
ヤエは田牧に23年前の事件についても既に話しており、自分が殺したと田牧に自白した
ことも話す花梨。
でもちょうどそのころ自分が生まれてオバアと二人暮しが始まっていることも弥生に話し、
「私は真実が知りたいの。自分がどうやって生まれてきたのか。
 どうしてお父さんもお母さんもいないのか。
 そしてなぜオバアは自分の身を呈してあなたを助けたのか」

弥生は自分が母親だとは言わず、花梨の母と同じ店で働いていたと話し出す。
彼女が15歳のとき母親つまりヤエが再婚したが、義理の父親はひどい男だった。
血のつながらない義理の娘に手をだした。でも彼女はそれを母親にはいえなかった。
彼女は妊娠し、それでやっと母親に知ってもらったと。
ヤエは彼女を連れて逃げ出したけど義理の父親が追いかけてきて、言い争いになって
殺してしまい、畑に埋めたと。
そのあとすぐに産気づいて彼女は子供を産んだ。それがあなただと。

でもヤエは彼女に子供は死産だったとウソを言って、彼女は島を出ていったと。

「もし、知っていたら?子供を残して島を出ていったと思いますか?」
「・・・出て行かなかったかもしれない。
 でも、自分が殺してしまった男の子供を殺した場所で育てるのは・・・絶えられ
 なかったかもしれないわね」

「彼女のことは忘れることね、あなたのお母さんはあの優しいおばあさんなんだから」
「それで、今その人は?」
「もうなくなったわ」
「もし生きていたら・・・私のこと、抱きしめてくれたでしょうか?」
「そうね、そうしたかもしれないわね」
時間になり退室しようとする弥生に声をかける花梨。
「私は待ってるから!あの島で・・・帰ってくるのを待ってるから」
「なにいってんの」
「私はあのときのぬくもりを忘れない。
 だって・・・だって生まれて初めて抱きしめられたんだもの。
 お母さんに・・・お母さん・・・お母さん!」

空港の近くで
「本当に帰るのか?」
「お母さんにあの島で待ってるって約束したから。それにオバアとも一緒に帰ろうねって
 約束したし、それに子供たちも待ってるしね」
遺骨を抱いて島に帰ろうとしている花梨。
「必ず迎えにいくよ。ピアノのコンクールでグランプリとったら」
そんな拓人にシーサーの片割れを差し出し、それを受け取る拓人。
そして花梨の手を握る拓人。

その瞬間花梨が見たものは・・・葬式のシーンと、赤ん坊を抱く拓人の姿だった。

花梨が何をみたのかは知らない拓人。
「何が見えても、俺が支えてやるから」
その拓人の言葉にうなずく花梨。
「・・・じゃあ」
一度振り向いて笑顔で沖縄に帰って行く花梨。

1年後。
拓人は花梨に会いにやってきた島で葬儀の列に遭遇する。
遺影は太陽が反射してよく見えない。
・・・そして見えたのは・・・花梨だった。

花梨が一年前に見た悲しい出来事が何だったのかを知った拓人。

花梨の墓の前にいた拓人に診療所の先生が花梨が産んだ赤ん坊を連れてくる。
「これが花梨が命と引き換えに産んだ赤ん坊だ。さ、抱いてやりなさい、ほら」
拓人が頑張っているから邪魔はしたくない、それでこの子を一人で産んだと話す。
子供を抱いて泣きながら笑う拓人。

「花梨、拓人くんに抱かれたときのあの子の顔、おまえさんも見たろ?
 これでひと安心だな・・・」

花梨
『拓人、悲しまないで。私にはわかってたの、こうなることが・・・
 空港で拓人の手に触れたとき、私には見えちゃったから、私の遺影が。
 私はあれからの一年で、なぜこんな特殊な能力を持って生まれてきたのかようやく
 わかった気がする。もし私に人の運命を見る力がなかったらオバアをおいかけて
 東京に行くこともなかったし、拓人と出会うことも、お母さんと出会うことも
 なかったんだから。
 拓人、あたしは今こう思ってる。生きていることの全てに意味があるんだって。
 私はこの子を産むために生まれてきたんだっておもう。私は望まれて生まれてきたわけ
 じゃなかったけど、この世に生まれた意味はあったんだって。
 拓人、この子にはたくさんの愛を与えてあげてください。
 オバアが私にそうしてくれたように。私の分までいっぱいの愛を・・・』

赤ん坊を抱きしめながら海を見つめて花梨を思う拓人・・・

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