リブログ 「春の嵐」

ここでは、「リブログ 「春の嵐」」 に関する記事を紹介しています。
h-imajinさんの一枚目の画をお借りして・・・
h-imajinさんの画

「春の嵐」

王宮の高台から臨むケギョンの春霞を、足を留めてしばし眺めたのは朝のこと。
日暮れが近づくにつれて長閑だった空は暗い色を帯び、彼方の空では春雷が
放つ一瞬の光をその雲に映し出している。

『来る』

御前を下がったヨンは帰宅を急ぐ。風防けを被り、徒歩(かち)で王宮の門を
出た途端、強い風に身体が煽られる。春の嵐はもう目の前まで迫っていた。
己を両足で踏ん張らせるほどのその風は、あっという間に松嶽(ソンアク)山を
駆け上り、松の木々をあらぬ方へと揺らす。僅かに見える山桜は、優美な姿
でその木の周りに舞い落ちることを許されず、薙ぎ払われて土埃とともに宙に
巻き上げられて、空の彼方へと去っていく。

朝の春霞と同じように、その様子をじっと眺めていたヨンは、風防けの頭巾を
目深に被り直して一歩踏み出す。
それを待っていたかのように、天から大粒の雨が地上のヨンめがけて降り始めた。

心が逸るのは、春雷に慄いているだろう妻を思う故だとしたら、腹の底からわき
出す奮然とした思いは何なのか。
先ほど目にした春嵐。人知が及ばぬ強大なその力を目の前にした、畏れにも似た
武者震いのせいなのか。
雨はもう下穿きや内着にまで滲みているのに、身体の芯は燃えるように熱い。
その熱さを持て余したヨンは、間もなくぬかるんだ道を一気に駆けだした。

帰宅すると、出迎えたのは妻だけだった。
通いの者たちは嵐が来る前に皆家に帰らせたのだという。
外着を脱いだ己の傍で、濡れた髪を忙しなく布で拭いながら妻がそう言った。
ぬぐい易いようにと頭を屈めると、豊かな胸の稜線に目がいく。
妻の手がふと止まる。

目が合う。

妻の目の奥に、ちらちらと熾る熾火を見た。

妻がくぐもった声で何か言い、離れる気配を感じた。
とっさに、妻の手を掴む。
「どこへ?」
逃げる素振りに、己の焔(ほむら)は一気に煽られる。

無言で妻の手を引いて家の中を歩く。
閨にはまだ火の気はない。
寝台に組み敷いた身体が熱を帯びてきたころ、腕にすがりついてきた妻が
「冷たい」と呟いた。
濡れた内着は身体にまとわりつき、紐は思うように解けない。
もどかしい気持ちで濡れたものを床に脱ぎ落とす。

暗闇に覆われた閨に、光が差しこむ。
障子をすり抜けた雷光が、妻の肢体を浮かびあがらせる。

昼の光のような眩しさではなく、かといって夜の灯りのような温かみはない。
月明かりに似てはいるが、煌々と照らす光ではない。
夜でもなく、昼でもない。
そんな世界に二人は居た。

すぐあとに、地を響かせながら雷鳴が轟く。
春雷に惹かれた内功が、表へ出たいとせがむのをどうにか鎮める。
再び、部屋の中が雷光に包まれる。
虎のような呻き声が、己の口から漏れた。

『今日は加減が出来ないかもしれない』

誘うように伸ばされた妻の手を握り返しながら、ふとそう思った

<おわり>
先週の火曜日、仕事の帰りにときどき聴いている「五時に夢中」で、
岩下尚文さんが「嵐が来る前にムラムラする」と仰っていました。
(車を運転しながらなので、TVだけどラジオ感覚なのヨン)

この前の大きな春の嵐があったでしょう?
その嵐が来る二日ほど前にムラムラ来たそうで(笑)

何となくこの話を憶えていて、h-imajinさんの画を見た瞬間ネタがヒラめいたのです。

h-imajinさん、有り難うございました♪


以上、ヨンとウンスのムラムラ話でした~
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