画像でSSを書こう 朝霧に思うこと

ここでは、「画像でSSを書こう 朝霧に思うこと」 に関する記事を紹介しています。
こちらは、シンイヨン周年期間限定ぐるっぽの企画「画像でSSを書こう」に
投稿したお話です。

加筆修正しております。

画像提供:チェヨン1さん

答えは出ていた。
だが、その答えを選びたくないばかりに幾度も考え直した。それが最善の策だと
頭ではわかっていても、その手段を選ばなければならぬ心が重く、もどかしかった。

俯いたまま朝霧が立ち込める中を歩いていると、萩の花に目が留まった。視線は
今が盛りの紅紫の花弁を通り過ぎ、生い茂った葉の間にかかる蜘蛛の巣に到達する。
蜘蛛の巣は、霧に濡れて規則正しい文様を浮かび上がらせている。
その巣には、一羽の黄色い蝶がかかっていた。蝶は羽ではなく、脚が糸にかかって
おり、逃れるためにしきりに羽を動かしてもがいていた。
先ほど己の目の端に留まったのは、その羽の動きだったようだ。そのまま立ち去ろうと
したヨンの傍を、白い蝶が通り過ぎる。蝶は、蜘蛛の巣にかかった黄色い蝶の周りを
飛んで離れようとしなかった。
しばらく二羽の蝶を眺める。そののちに、おもむろに黄色い蝶に手を伸ばす。すると、
白い蝶が目の前を何度も行き交ってその邪魔をした。
「待て」
傷つけぬよう、細心の注意を払って、蝶をそっと巣から外してやる。蝶はもがき疲れた
のか、手の平に載せてもすぐには飛ばず、ゆっくりと羽を広げたり畳んだりしていた。
そのうち、白い蝶がやってきて同じように手の平に留まる。
頬に温もりを感じて顔を上げると、朝陽が王宮の屋根の向こうから昇り始めていた。
霧は朝陽の中へと溶けるように消えて、空が晴れていく。
蜘蛛の巣に、ようやく主が戻ってくる。蜘蛛は、目当ての餌が見当たらず、辺りを成す
すべなく探し回っていた。
陽の温もりに力を取り戻したのか、やがて二羽の蝶はそろって手の平から飛び立つと、
晴れた空の彼方へと飛んでいく。

ヨンは、それを無言で見送る。
『あの方も・・・』
ヨンは拳をぐっと握る。
『あの方も長くかかれば、奴に喰われてしまう。今はこの術しかないのだ』
心は決まった。
『必ず、取り戻してみせる』

ヨンは見覚えのある門の前に立つと、訪いを告げる。
「ウダルチテジャン、チェ・ヨン。こちらの屋敷に預けているものを取り戻しに参った。主に
取り次ぎを願う」

****
幻想的な風景にヨンが一人たたずむこの画。その視線の先に舞う二羽の蝶。
このお話は、9話でキチョルの屋敷にいるウンスに、ヨンが会いに行く直前の心情を
描いたものです。(「嘘は得意ですか?」と聞くシーンですね)

 ※次はイタkissさんの天音子をアップ予定です。

スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する