画像でSSを書こう チュソクの夜に

ここでは、「画像でSSを書こう チュソクの夜に」 に関する記事を紹介しています。
こちらは、シンイヨン周年期間限定ぐるっぽの企画「画像でSSを書こう」に
投稿したお話です。

今回は大幅加筆修正しました。

画像提供:h-imajinさん 画像保管庫

チュソク(秋冬)の夜。

月明かりが煌々(こうこう)と王宮の屋根に降り注ぐ。
御前を下がってきたヨンは、兵舎前の砂場に部下たちがたむろしているのを目に留めた。

トルベを中心にして、皆が周りを囲むように地面に座り込んでいる。
『あいつら・・・』
さっさと休めばいいものを、何をしているのか。
腕を組んでしばらく眺める。少し離れているとはいえ、仁王立ちで立つ己の姿は見えて
いないようだ。そのうち、トルベの声が耳に届いてくる。
「チュソクの夜のことだ。ケギョンのある橋の欄干に、首の長い無地の壺が置いてある
のを、通りがかった若い男が見つけた。誰が置いたのか不思議に思って、その壺を手に
とって揺すってみたが、何の音もしない。中身は空っぽだったんだ」
「それで?」
「まあ、慌てるな。その男が、何気なく月明かりに照らしてみた。すると、なんと艶めかしい
天女の絵が、壺の表面に浮き上がってきたんだ。ひと目でその絵に魅入られた男は、辺り
に誰もいないのを確かめると、その壺を素早く懐に隠して家に持ち帰ると、生身の女を
撫でるように壺を何度も撫でた。するとだな、空っぽの壺の中から白い煙がスーッと立ち
上って、何と絵の女が抜け出てきたんだ。女は絵姿と同じ、赤い薄衣を一枚身に着けた
だけの肌も露わな格好だ。女は何にも言わず、笑ってその男を誘うんだ」
聴衆がどよめくと、トルベが満足げにそれを眺め回す。と、ようやくこちらに気づいたようだ。
「テ、テジャン!」
トルベの言葉に、皆慌てて立ち上がろうとするのを手で制する。
「続けろ」
テジャンは近づきもしなければ、立ち去りもしない。
「え?は、はい。えーっと、男は女に誘われるまま、その肢体にむしゃぶりついて我を
忘れて恍惚になります。それで、己がいつの間にか壺の中にズルズルと引きずり込まれて
いることにも気づかないんですよ。引きずりこまれた男はやがて壺の絵になるのですが、
絵になった男は見る前に薄くなって消えて、あとには満足げな天女の姿だけが残っている
という・・・妖魔の話でした。はい」
本当のところは、天女の恰好をした妖魔が色っぽく迫ってくる様を身振り手振りでもって
表現するのがトルベの真骨頂だったが、全て端折った。命が惜しかった。
「お前たち」
皆一斉に立ち上がる。
「はい」
「もう寝ろ」
「はい!」
ウダルチは我先にと宿舎の戸口に群がる。

月明かりの下、ヨンは一人立つ。
「まぐわいながら喰われるのか。それは何とも・・・倖せだな」
呟きが漏れる。
声に出した途端、己に呆れてフッと笑う。

ふと、誰かに見られている気がして顔を引き締める。
一瞬のちに頬を緩めた。
「ああ、そうか。お前が見ていたな」
柔らかい色合いの月を、ヨンはしばらく見上げていた。

****
私、最初ウンスが身につけている羽衣を、煙と勘違い(笑)
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン♪」
こっち方向に妄想が爆走して、魔法のランプならぬ壺が出てきました。
ちょこちょこ触った結果、発表したお話とは違うテイストになったかも(汗)
それもご愛嬌ってことで・・・

次はチェヨン1さんのお話をアップ予定です。
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