ヨン周年企画 お題②『とっちゃ、やだ。』

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このお話の設定は13話で手を怪我したヨンを治療した後日談設定です。
では、どうぞ~

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「たのもー!」
 その声に、卓の上に広げた警護の配置図を囲んで立っていたウダルチの動きが   
一斉に止まる。間を置いて、ヨンが顔を上げないままで静かに尋ねる。
「オレの空耳ではないな?」
 まごまごしている部下たちの気配を察したヨンは、足早に宿舎の入り口へと向かう。
「あ!きたきた!!」
 ウンスのその声に、背を向けて立っていた歩哨の二人が、同時に振り向いて軽く頭を
下げる。己が来たことに、明らかに安堵している顔つきだった。
「何ですか」
「勝手に入れたらあなたに叱られるって言うから。それで呼んだのよ」
 二人に視線を向けると、身を縮こまらせていた。
「何の用ですか?」
「言ったでしょ?縫った傷の様子を見るって」
 ウンスは歩哨の脇を抜けて、ヨンの傍を通り、宿舎に入ろうとする。ヨンは、幾分
慌ててウンスの前を塞いで立つ。
「医仙」
「待ち合わせの場所にあなたが来ないから、ここまで訪ねてきたのよ。さ、行きましょ」
 この前ヨンの部屋に行ったので、勝手はわかっている。すたすたと歩いていくウンスに、
隊員たちは慌てて避けて道を作る。振り返って「早く来い」と手招きするウンスを、ヨンは
暫く呆れて見ている。
 部下たちは、目を逸らしつつも動向が気になるのか、そわそわと動きが落ち着かない。
『オレの体面も考慮してくれと言ったのに、このザマだ』
 ため息を一つ吐くと、ヨンは渋々部屋へと歩いて行った。

 消毒が終わり、道具を片づけ終わったウンスは、腕抜きの紐を巻くヨンの手に視線を
這わせる。無駄のない手の動きは美しく、しばらく見惚れていた。ふとヨンが顔を上げる。
「?」
 問いかけの表情で見つめられ、ウンスは内心で焦った。咄嗟に前から気になっていた
ことが口を突いて出た。
「それって、何ていうの?」
「それとは?」
 ウンスは、自身のこめかみを指で差し示す。
「・・・トゥゴン(頭巾:두건)のことですか?」
「トゥゴン・・・バンダナなの?」
 目をぱちくりさせるウンスを見て、ヨンはトゥゴンの結び目に手を掛けた。
『何がこの方の興味を引いたのだろうか』
 そのことが気になった。
「あ、待って!とらないで」
 慌てた様子のウンスに、ヨンは手を止めてウンスを見つめる。
「わざわざ取ってもらうのは悪いから・・・」
 変なことを言った気がして急に腰が引けた。そんなウンスに、ヨンはフッと小さく笑うと
トゥゴンを解いてそのまま差し出す。
 ウンスは、トゥゴンを手に取ることはせず、ヨンの手の中に置いたまま手を伸ばして
布地を触る。布は正方形ではなく、細長い帯状だった。
「バンダナじゃなくて、テ(帯:띠)に近い感じね」※1
 ウンスは、布地から手を滑らせてヨンの手の平に収まっている銀の額金(ひたいがね)に
そっと触れる。差し出された手を掴みたい。そんな衝動に駆られて、空いているほうの
手をグッと握る。
「これは・・・チョナから賜りました」
 気詰まりで、自分のほうから口を開く。
「イムグムニム(王様)から?」
「ええ。この額金の文様はウダルチテジャンの証だそうです」
 ヨン自身は取り立てて証というものに特別な感慨を感じたわけではない。チョナから直に
頂いたわけでもなかった故、頂いてもしばらくはつけなかったのだが、度々チョナの視線が
額に留まるのを感じて、つけることにした。
 ウンスがスルリとトゥゴンを抜き取る。
「ねえ、今度は私が結んであげるわ」
「結構です」
 間髪入れずにヨンは断ったが、時既に遅しだった。
「いいから、いいから」
 ウンスはさっと立ち上がって椅子に腰かけたヨンの背後に回る。
「額のところを合わせて」
 断ったところで、押し問答の末に押し切られる。それなら早く終わらせたほうがましだ。
結論を出したヨンは、渋々ながらも指で額金を押さえる。
「締め具合はこれぐらいでいい?」
「もう少し、締めてください」
「オーケー」
 ウンスはトゥゴンを持った両手に力を込める。ぎゅっと握っていないと、ヨンの髪に触れ
たい衝動が抑えられない。
『硬くて張りのある髪・・・撫でたらどんな感じかしら?意外と柔らかいのかも・・・』
 髪を撫でたい衝動を生唾を飲んで堪える。顔が火照っているのが自分でもわかる。

ウンスはトゥゴンを素早く結ぶ。
「できたわ」
 その声にヨンが立ち上がる。
「典醫寺まで送ります」
「うん。あなたはこの後どうするの?」
「チョナの元に参ります。ソヨン(書筵)の配備についてご報告をしに」
「わかったわ」
 二人は連れだって宿舎をあとにする。

その後ろ姿を見送るウダルチらは・・・複雑だ。

(完)

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<あとがき>

キーワード、どこにあったかですって。
えーっとね・・・「とらないで」≒「とっちゃ、やだ」ってことでご勘弁を(^_^;)

※1
トゥゴン(두건)は台本に載っていた単語です。画像検索するとバンダナが
出てきますが・・・あれってチョグォルテのものとはちがって、紐というか帯に
近いように見えます。

ハチマキは머리띠(モリッティ)っていうみたいですが・・・この単語だけで
検索するとカチューシャがほとんどです(笑)

チェ尚宮はこの두건のことを紐(끈 ックン)と言っていました。
ドラマ設定では、細く裂いて剣にくくりつけている設定だったのかな?

額金は銀色みたいですが、何の紋章かは不明。(よく見えない~)
なので設定は(いつものごとく)テキトーです。

ぐるっぽで、かずちゃんさんがアップされた画像をみていて、ハチマキをとったら・・・という
発想がパッと思い浮かびました。
かずちゃん、ありがとうございます♪

あと、ハチマキを取っている状態のヨンの画を恋藍さんから頂きました。
恋藍さん、ありがとうございます♪

私、ウェービー派なのですが・・・
この横顔たまらん(///∇//)
(ハチマキヨンによろめいちゃう(はぁ~)



もし、他の書き手さんとハチマキを取る設定がカブっていたら・・・
それはとても光栄且つ、嬉しいシンクロでございまする(*^_^*)

次のお話は、この二人が宿舎を出て行ったところから始まります。

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