【シンイで年越し企画2015】紅楼夢 30

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 ヨンスは、テジャンを遠くに感じることがしばしばあった。

 ウダルチの鍛錬はプジャンに一任されており、テジャンは大抵宿舎の自室にこもって
いらっしゃった。テジャンが丸三日眠り続けるのだとトルベヒョンから聞いたとき
には耳を疑ったものだが、本当に部屋から一歩も出てこられないので驚いたものだ。
「なぜ、テジャンはあのように何日も眠り続けるのでしょうか?」
 その疑問をヒョンにぶつけてみたことがある。
「さあな。わからん。チョグォルテのプジャンだった頃のことは何も仰らない。前に
尋ねたとき・・・」
 トルベが言葉を切る。
「尋ねたとき?」
「・・・オレ以外は皆死んだと言われた。それ以来誰もそのことは聞かなくなった」
「・・・」
 前のウダルチテジャンを、トルベは知らない。けれど、古参のウダルチたちに言わ
せるとそりゃもうひどいものだったそうだ。そいつの命令でいつ無駄死にするかと
戦々恐々の日々だったと。
「今のテジャンは、決してオレたちの命を粗末に扱ったりしない。そんなテジャン
だから厳しい鍛錬もこなしてみせるし、テジャンに命を預けることもできるんだ」
 熱弁を奮ったことがあとになって気恥ずかしくなったのか、トルベががらりと
ふざけた口調になる。
「まあ、あれだよ。オレたちはテジャンのもとで、チョナをお守りしながらお役目を
全うし、休みのときには馬鹿やって賑やかにするだけさ」
 ニヤリと笑うトルベを、ヨンスはじっと見つめる。テジャンを遠くに感じるのは
自分だけではない。ヒョンもまた、そう感じているのだろう。だから、賑やかに騒いで
わざとテジャンの気を引いているのかもしれない。
 ふとそう思った。

 ヨンスがウダルチに入ってから、王が数年ごとに替わられた。ヨンスが初めて警護に
ついた王はまだ八歳という若さだった。王は病がちで康安殿から出る機会はほとんど
なく、政はチョナの生母とその親族が取り仕切った。そのため、ヨンスがチョナの
警護につく機会はほとんどなかった。
 幼い王は即位から四年後、十二歳という若さで早逝し、忠恵王の庶子だった慶昌君が
即位された。チョナはいつも不安そうなお顔で、何をするにもテジャンや側近の者たち
の顔色を窺い、判断を委ねておられた。
「怖い」という言葉をなんの躊躇いもなくお使いになり、その度にテジャンは優しく
諭された。チョナはテジャンに絶大な信頼をおかれており、テジャンは少し困った
表情でその御心を受け止めておられた。

 チョナは御年十二歳で、ホンイと同じ年だった。そのこともあってか、ホンイのこと
をよく考えるようになった。
『どうしているのか?』
気になった。

<つづく>
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