【シンイで年越し企画2015】紅楼夢 29

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 ホンイと二人で何かをしたのはそれが最初で、そして最後だった。それからしばらく
してウダルチに入隊した。

 新入りの隊員たちは、兵舎の前でテジャンとの初顔合わせに緊張して臨んだ。
チョグォルテの最年少プジャンだったと専らの噂だったウダルチテジャン。さぞかし
巌のように大柄な体躯の持ち主で、その顔は鬼のように強面だと思っていた。けれど、
今目の前にいるその御方は、至って普通の体躯だった。
 その容貌は、ずば抜けて整っており、皆が皆見惚れていた。父からテジャンについて
話を聞いていたヨンスでさえ、テジャンを前に緊張の糸が張りつめていた。
「ウダルチテジャン、チェ・ヨンだ」
 おもむろに開かれた口から発せられた声は低く、心地のいいものだった。ヨンスたち
はテジャンの次の言葉を待った。
「以上。プジャン、あとは頼む。オレは寝る」
 恐らく、そのときの自分たちは間抜けな顔をしていたに違いない。
「はっ」
 テジャンが兵舎の戸口に向かうのを、ただただ茫然として見送るしかなかった。
そんなる自分たちを、円を描くようにして周りに立っていた古参の隊員らがニヤニヤと
人の悪い笑みを浮かべて眺めていた。
 と、テジャンが振り向いた。
「言い忘れていた」
「プジャン」
「はい」
「家柄や推薦を口にした奴は、即刻叩き出せ。己の腕を吹聴した奴は、半殺しにして宮
の外に放り出すよう」
「はっ!」
 テジャンのことを知らないまま、ウダルチに志願したものがいたのか、或いは今まで
そのような扱いを受けたことがなかったのか。物騒な発言に、貴族の子息たちはどよめ
いていた。
 ヨンスの心は躍った。テジャンは、己が思った通りの御方だった。

 ウダルチの鍛錬は苛烈で、日頃から鍛えていたはずの身体は、悲鳴を上げた。鍛錬以外
にも、覚えなければならないことは山とあった。王宮内の建屋の配置を頭に叩き込み、
新入りが任された雑用に至っては、要領の悪さを度々叱られながらどうにかこなした。
 毎日があっという間に過ぎる。目を閉じた途端に眠りの淵に引きずりこまれ、起きる
際は朝陽や鳴子笛が心底恨めしかった。同じ頃に入った隊員は四分の一まで減るほどの
過酷な日々ではあったが、それでも心は満たされていた。

<つづく>

続いちゃった。

ただいま、まつり用の下書きを書いております。
並行でこちらもなるべく進めていきますね。
(まつり用のお話が一つ仕上がったので、こっちも取り組んでまいりまする)

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