【シンイで年越し企画2015】紅楼夢 26

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ヨンスは内廊下に出ると、戸を背にして立つ。
「一人になりたいなら、見張りでもしていろ」
チョジャンは、恐らくそういう意図で自分を外に出したのだろう。心配りを有難く
受ける。部屋から出ると、あっという間に冷気が身体を取り囲む。それもまた、今の
自分には有難いものだった。煮詰まっていた考えも、頭が冷えれば何か別の考えが
浮かぶのではないか。そんな風に思えた。
ヨンスは、胸に手を当てる。懐には、昨日母から届いた文が入っていた。けれど、
ヨンスはそれを取り出すことはなかった。広げて読むまでもなく、何度も繰り返し
読んだ内容は頭に刻み込まれていた。

「ヨンスへ。コ夫人(ホンイ母)が先ほど訪ねて来ました。ホンイはお前から受け
取った婚書を、手ずから返すつもりでいます。二、三日中にお前を訪ねて行く
でしょうから、会って婚書を受け取ってやれるよう、宜しく取り計らっておくれ」

母からの文はいつにも増して簡潔なもので、文字や文面から母の心情を読み取る
ことは難しい。心情を読まれるのが嫌で、あえて簡潔に用件のみを書いたようにも
思えた。故に睨むようにして何度も文字を読んだものの、事情を汲みとるまでには
至れず、もどかしさだけが募った。
「婚書を返す」
返すということは婚姻の意思がないということ。その言葉は、名ばかりの許婚だった
ホンイをいつしか心に抱いていたヨンスにとって大きな衝撃を与えるものだった。
『十七になるまであと二年。より良い家門と縁づいたのだろうか。或いは、外に想い
を寄せる者でも出来たのだろうか。なぜ、両親ではなく、ホンイ自身が婚書を返し
に来るのだろうか。』
思いは千々に乱れて、考えはますますまとまらず、眉間に皺が寄る。
「大丈夫ですか?」
すぐ傍で声がして、顔を上げる。けれど、誰もいなかった。空耳だったらしい。
けれど、その声のせいで先ほどまで思考の渦に揉まれて溺れかけたのが嘘のように、
心に落ち着きが戻った。
ヨンスは自嘲じみた笑いがこみ上げる。皮肉なもので、心が乱されるのも、落ち着く
のもホンイの声だった。

ヨンスは目を閉じて、その声を聞いた場所へと思いを馳せる。

<つづく>

更新の間隔が開いてしまいました(汗)
展開にちょっと悩んで・・・
書くべきかどうか悩んだことはとりあえず先送り!

次回はヨンスの回想シーンってことで。
ますますヨン&ウンスの再登場から遠ざかる(笑)
ジェーン・スーの著書「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」ならぬ
おりーぶの「貴様いつまで年越し企画でいるつもりだ問題」からますます
抜け出せません。

ここはひとつ、一年企画ってことで(おいおい)
みなさん、そのつもりで温かい目で見て頂いているとか?
(はい、都合のいい解釈入りました~)
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