【シンイで年越し企画2015】紅楼夢 25

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 再び、妓楼の一室。

「ヨンス」
「・・・はい」
 呼ばれて初めて、物思いから覚めた様子だ。返事が遅れたことには触れず、トル
ベはその場にゴロンと横になって片肘をつく。
「待ちくたびれた。オレは寝て待つから、テジャンが来たら合図しろ」
「・・・チョジャン」
 寝転んで目を閉じたトルベが呼びかけに応じて目を開く。
「なんだ?」
「・・・いえ、何でも」
 不機嫌な物言いだが、目は真っ直ぐにヨンスを見返していた。何か言いたげに口を
開きかけたヨンスだったが結局言葉にはならず、再び口元をきゅっと結んだ。そして、
すっくと立ち上がると、部屋を出て内廊下に立つ。
「あの、見張りなら私が・・・」
 トクマンが慌てて名乗りを上げる。平時であれば、一番年下の自分が仰せつかる
役目だ。
「なあ、トクマン。チョジャンがああ言ってるんだ。ヨンスに見張ってもらおう」
 立ち上がりかけたトクマンを、ウンソプがやんわりと制する。ウンソプは二人の
気配から何か訳があるのだと察したようだった。二人の会話を背中で聞いていた
トルベは、しばらくしてから、のっそりと身体を起こすと、元の姿勢に戻る。
 驚いたトクマンはウンソプに表情で問うが、事情を知らないウンソプは「さあな」
とばかりに頭を振るだけだった。
 トルベの口唇から嘆息が漏れる。
『ざまはない』
 だが、それが男というものだ。みっともない話だが、惚れた女に袖にされれば、
男は無残で惨めな姿をさらすのみだ。物事にあまり動じないヨンスだったが、色事
に関しては並みの男同様、いやそれ以上に受けた傷が大きかったようだ。今はその
ことを突き詰めて考えるよりも、何か役目を任せて没頭させたほうがいい。そう
思って、奴に嘘の見張り役を割り振った。
『オレも何度そうなったことか』
 トルベは目を閉じて、胸にしまっている巻物を頭の中で広げてみる。女たちとの
遍歴を記した<トルベ秘録>で当時を振り返っては「うんうん」と何度も頷いて、
やがてヨンスのことを失念する。

<つづく>

久しぶりの更新です。

夏風邪引いてました(あははは・・・はぁ)
風邪薬飲むと6時まで寝ちゃうんで、作業時間がなくて。
今日から復活です。( ̄▽+ ̄*)
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