【シンイで年越し企画2015】紅楼夢 24

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「ミョンファには、欲しいものがありました。妹が春に嫁ぐことになり、その祝い
として髪飾りを贈ろうとしたのですが、手持ちが足りず、諦めて宮に戻ろうとした
ところで私を見つけて声をかけたそうです。私を許婚に仕立てて、かなり値を抑え
ることが出来たのですが・・・やはり、少しばかりは」
「用立ててやったのか?」
「はい。俸禄を頂いたら返すと約束してくれましたし、こちらもようやく良いもの
に巡り合いましたので」
 店主は色違いだと言っていたが、趣は全く異なっていた。赤いほうは飾り紐と布
で大輪の花を模して、花芯には小さな赤い珊瑚が使われており、白いほうは飾り紐
を結い合わせて小花に見立て、花芯には白蝶貝があしらわれていた。
 決めかねて一度は店を出たものの、ミョンファに「あれは丁寧な拵えで、大変な
値打ちものですよ」と言われ、すぐに戻って手にいれた。値は張るが、良いものを
買ったと会心の笑みを浮かべていると、トルベが嘆息する。
「おい、オレの有能な右腕はどこに行った?」
 ヨンスが緩めた口元を慌てて引き締めるが、もう遅い。
「嘆かわしい。いいように使われやがって」
 言葉は荒いが、大事に至るようなことではなかった安堵から、顔つきは優しかった。
『ヒョンに似てきたのかもしれない』
 共に行動していると、雰囲気が似てくるのだろうか。困った女を自ら引き寄せて
いるような気になる。
『女難の相は、似たくはないのだが・・・』
 そんな風に考えて深刻な顔を浮かべるヨンスを、トルベは反省の色と見せている
と思い込んだ。
「反省しているならもういい。こういうことは、これきりにしてくれ。オレもウォル
も寿命が縮んだ」
 その場限りのこと故、自分が大仰に否定しなかったことで、二人に要らぬ心配を
かけさせた。
「申し訳ありませんでした」
 ヨンスの真摯な詫びに、トルベもそれ以上の小言はやめておく。マンネのトクマ
ンなら、くどくどと説教してやるところだが。
「いいさ。もうこの話は済んだ。戻ろう」
 来る前よりも足取り軽く、トルベとヨンスは兵舎へと戻る。 
「あー、やれやれまったく」
 トルベの呟きを、ヨンスはさりげなく聞き流す。

 それが事の始まりだったのだと、このときのトルベとヨンスは知る由もない。

<つづく>
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