【シンイで年越し企画2015】紅楼夢 16

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 ヨンは、ウンスの唇に軽く触れる。
『ああ・・・』
 その柔らかい心地は心に刻んだ通りのもので、合わせた唇から得も言われ
ぬ震えが全身を伝う。その震えが、身体の奥底でくすぶっていた情欲の熾火に
到達した瞬間、勢いよく炎が燃え上がり始める。
 ヨンは、ウンスの唇が冷たいことに気がつく。と同時に、唇を強く押し当てていた。
『温める』
 それしか頭になかった。
 やがて、ヨンの温もりがウンスの唇に宿る頃、ヨンは自分がウンスの二の腕
を掴んで、覆い被さっていることをようやく知ることになる。
 ヨンが唐突にキスをやめる。少し遅れてウンスが目を開ける。
『?』
 突然のことで戸惑ったウンスが、問いかけの眼差しを送る。ヨンは、ついと目
を逸らすと、ややのけぞるような体勢だったウンスを起こして掴んでいた二の
腕から手を離す。そして、自分の腕にかけられていたウンスの手をそっと外す。
「王宮に戻ります。支度を」
 視線を合さぬよう、つぶやくように言うと、ヨンはウンスの着替えのために部
屋を出ようとする。ウンスは、さっきのキスの余韻とその後の戸惑いからまだ抜
けだせず、言葉がすぐに出てこない。それでも何とか返事をする。
「ああ、ええ・・・でも、待って。私たちだけで帰るの?ウダルチの皆は?」
 戸口に身体を向けていたヨンが、ウンスに向き直る。
「共に帰ります」
「それは困るわ。せっかく呼んだのに・・・」
 すぐさま異議を唱えたウンスの反応に、ヨンは師叔の話を思い出す。
「イムジャは、ウダルチを呼び出すことに手を貸した。脅されてそうしたのでは
ないということは、あいつらの身に危険が及ぶ話ではないと判断しました」
「それは、そうだけど・・・」
「誰ですか?」
「え?」
「そいつだけ、もしくはそいつらだけ置いて帰ります」
「・・・」
 取りつく島がない。ウンスはアプローチを変えるために、まず自分の気持ちを
フラットな状態にしようとフーッと大きく息を吸って吐く。それから、ヨンをじっと
見つめる。見つめられたヨンは、ふいと目を逸らす。読まれたくない気持ちがあ
るようだ。

『もう少しで・・・』
 もう少しで前後の見境もなしに、その場に押し倒してしまうところだった。衣を
まとわぬ二の腕を何のためらいもなく掴み、そのことにも全く気づかないまま口
づけに没頭し、あまつさえ、押し倒そうとしていたのだ。
 思えば、ウンスが部屋に入ってきたときから、それは始まっていたのだ。
『ここは王宮でもなければ、兵舎でもない』
 呼ばれない限り、主らは部屋の戸を叩くこともないだろう。誰も、そして何も止
めるものがない。今この場に於いては、枷(かせ)となるものが何もない。ヨン
は、ウンスを欲しがる心を解放した己の欲の強さに慄(おのの)いていた。

「ねえ、顔を上げて」
 呼ばれて我に返る。考え込んでいる間に、ウンスが目の前に立っていた。ウ
ンスはヨンの顔をじっと見ると、
「やっぱり」
 と、したり顔で微笑む。
『何が?』
 目で尋ねるヨンに、
「じっとしてて」
 と言いながら、ウンスは手を伸ばす。ヨンはその手が顔の前まで伸びてきた
ところで、反射的に手首を掴む。
「何を?」
「痛いわ」
 言えば触らせてくれないだろうから、ちょっと大げさに訴えてみる。案の定ヨン
はすぐに手を緩めて、離してくれた。ウンスは、さっと手を伸ばしてヨンの唇に
指で触れる。
「私の口紅がついてるのよ」
 指の腹でゆっくりと唇を撫でる。唇をなぞる指の動きに、たまらずヨンがウン
スの手首を掴む。
『振り払われる』
 ツキンと胸の痛みを覚えたウンスだが、抵抗はしなかった。
「あっ」
 瞬間、声が漏れていた。
 手首を掴んだヨンの大きな手が優しくウンスの手の甲を這い、ヨンの手が重
なる。ヨンは目を閉じて、ウンスの指に口づけする。その様子を見つめている
ウンスの目が艶を帯びる。
 唇はゆっくりと指を滑り、手の平へと到達する。滑っていく合間に漏れる、濡
れた音が耳に届く。それだけで、ウンスは立っていられなくなる。
「カシャン」
 遠くで何かが割れる音がした。ヨンが動きを止めて耳を澄ませる。ウンスは半
ば夢の中にいるように、ぼんやりとヨンを見ていた。
「おい!」
 しばらく後に耳に届いたのは、トルベの険しい声だった。

<つづく>

お、お待たせしました。
お待たせしすぎて・・・本当に申し訳ないです。
展開に悩んで悩んで、ただ日々がすぎていきました。

年越し企画が半年近くかかっているというこの事態。
年またぎ企画にならないように祈るばかり。
あと二回ぐらいで終われるといいなぁ(希望的観測)

あ、キスシーンは参考にした画像ありました。
詳しくは「なう」を見て頂ければ(笑)

 ※「なう」はFC2の機能ではないので・・・
   ここを見て頂ければ・・・(注意:ドラマブログのページに飛びます
     ⇒そしてヨンと〇○のキスシーンへと飛ぶのでございまする)
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