シンイで年越し企画2015】紅楼夢 13

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 部屋の扉が勢いよく開き、室内の暖気が内廊下へと吸い出される。替わりに、
夜の冷気がその空白を埋めるように、足元から音もなく室内へと滲み込む。ヨ
ンは、その様を身体で感じながら、精神は戸口の先に見えるものを凝視するこ
とに集中していた。
 五人の人影が目に飛び込み、ヨンはすぐさまウンスを探す。全員が女である
ことは、先ほどの足音で承知していた。視線が、赤い布を被った女に引き寄せ
られて不意に留まる。そこから目を離さぬまま、視野を広げて他の四人を一瞥
する。会釈で頭を下げている四人とも、髪の色が黒い。
『では、あれが』
 赤い布を被った女がウンス、その人だという確たる証を求めて視線が走る。
上半身は布で覆われ、笠のつばが張り出していて顔の輪郭がはっきりしない。
瞬きもしないで探し回る目が遂に、赤い布から出ている白い手を捕らえる。
 見覚えのある指、見覚えのある爪の形だった。
『いた』
 詰めていた息が、緊張の緩んだ口元からフッと漏れる。
 ちょうど、会釈していた女たちが姿勢を戻したので、ヨンはそちらに目をやる。
主がゆっくりと歩き出すと、手を引かれているウンスもそれに合わせて慎重に
足を運ぶ。二人の後ろに立っていた女は、酒器を載せた盆を持ったまま敷居を
越えてすぐに止まった。と、同時に今度は静かに扉が閉まる。
 ウンスが被っている布は恐らくモンスだろう。普通であれば、顔の前に視界を
確保できるだけの隙間があるはずだが、さしずめ前後逆に被っているというと
ころだろうか。
『何がしたいのだろう』
 すぐに判ることではあるが、何となく身構えてその時を待つ。

 メヒャンに促されて、ウンスはヨンと向かい合うように立った。手を離したメヒャ
ンがウンスの背後に回ると、ウンスはその場に片膝をつく。笠帽の紐をあごか
ら外して、深呼吸を一つする。
「ナウリ、お初にお目にかかります。ソガン亭の妓生ファンウォルでございます。
どうぞ、末永くご贔屓を賜りますようお頼み申し上げます」
 ウンスが口上を述べ終わったと同時に、メヒャンが背後からさっとモンスを剥
ぐ。ウンスはゆっくりと立ち上がりながら、上目づかいでヨンに向かって薄く笑
みを浮かべる。

<つづく>

今回もまたもや短め(汗)
もう少し書いているのですが、まだ完成していないので後日アップします。

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