シンイで年越し企画2015】紅楼夢 12

ここでは、「シンイで年越し企画2015】紅楼夢 12 」 に関する記事を紹介しています。
 一、二・・・五。
 ヨンは、近づいてくる足音を数えていた。その足音の中に覚えのある音を聞
き取り、軽く閉じていた目を開いて顔を上げる。足音は内廊下を曲がり、やが
て部屋の前で止まる。
 戸口の傍の壁にもたれていた身体をゆっくりと起こす。扉越しに聞こえる衣擦
れの音に心が逸(はや)り、足が一歩前に出る。扉の向こうから、妓楼の主が
訪(おと)ないを告げる。
「チェ・ヨン様、お待たせ致しました。ファンウォルが参りました」
 足音で、ウンスが来たことはわかっていた。それでも、確かな知らせに待望の
ため息が僅かに漏れる。
『ようやく・・・』
 その気持ちを噛みしめながら、ヨンは息を殺して戸口を見つめる。

 メヒャンを先頭に、ウンス、その後ろに介添えのオンニ三人が部屋の前に立
っていた。メヒャンがウンスの背後に回り、彼女が被っている椿色のモンス
(몽수:蒙首 ベールとお考え下さい)の隙間から手を中にいれる。ウンスの肩
にかけられていた萌黄色のチョゴリと内着を併せて引き抜くと、それを腕に掛
けて持ち、ウンスの隣に移動する。
「では」
「・・・待って」
 メヒャンが差しのべた手を取ろうとしたウンスは、出しかけた手を引っ込める。
メヒャンはウンスの前に出ると、部屋の扉の両側に立っている介添えの二人に、
手振りで待つように伝える。残りの一人は、ウンスの背後でそのまま待機して
いた。
「ウンス様?」
 振り返ったメヒャンが尋ねる。
「少しだけ待って」
 ウンスの顔色はモンスに遮られて全く見えない。それでも、緊張した様子は
声となってメヒャンに伝わる。
「承知致しました。では、ウンス様のご準備が整いましたらお声掛け下さい」
 メヒャンは、ウンスの隣に移動する。
「ありがとう」
 ウンスが小声で返答する。
『この扉の向こうに、あの人がいる』
 肌が粟立つのは、肩や背中がむき出しになったせいなのか、それとも緊張し
ているからなのか自分でもよくわからない。目を閉じて深く息を吸い、今度はゆ
っくりと時間をかけて息を吐く。何度か深呼吸して、落ち着いたところで目を開
ける。ふと、チマの皺に目が留まった。
 生地を軽く持っていたつもりが、いつのまにか皺になるほど強く握りしめてい
たらしい。手の平で撫でつけて皺を伸ばす。そうやって手を動かしたことで、身
体の力みが取れた気がした。
『よしっ(アジャ)!』
「いいわ」
 ウンスは、メヒャンに声をかけると、モンスから手をにゅっと差し出した。

<つづく>

モンスは、昔婦女子が外出する際に他人に顔が見えないように被ったもの
という感じの用途だったようです。
時代がちょっと合わないかもしれませんが、このアイテムを使ってみたかった
ので登場させました。

本当はモンスの上に「입모イムモ(笠帽)」を被っていた、という記述だそうです。
画像は「高麗図経」の記述をもとに再現されたものらしいですが・・・
(私は笠帽の上にモンスを被るほうが好きかな)⇒好みの問題ではないですね(笑)
こうらいずきょう【高麗図経】
高麗に関する中国,宋代の徐兢(じよきよう)の見聞記。正しくは《宣和奉使高麗図経》。
1124年撰。40巻。
彼は1123年(宋,宣和5)宋の国信使の随員として高麗に来て,約1ヵ月滞在し,
帰国後その間の見聞を本書にまとめて,徽宗に撰進した。全29部門に分けて,
高麗盛時の制度・文物・風俗・人物等を記録していて,貴重である。
図と説明文(経)から成っていたが,図は亡失し,現在説明文のみ残っている。
【コトバンクより引用】
モンス
あ!
ちなみにお話の中で、ウンスはこのモンスを前後ろ逆にかぶっています。
(つまり顔の前にあるはずのスリットが背中にきているということですね)
大事な前フリを忘れるところでした(危ない危ない)


そういえば、「善徳女王」の二話目で、王妃になりたいミシルが暗躍する際にも
こんな感じのものをかぶっていました。
(よーく見ると、ヘアスタイルが崩れないように?笠の中に五徳があるんですね)
モンス_ミシル着用


スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する