ムカデにまつわるエトセトラ 09

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前回の終わり部分を少し修正しています。
(うまく書き継げなかったので変えました)

「チョナ、ワンビママ、そしてイムジャがケギョンに到着される前日、ソネジ
ョン(宣恵亭)で火事がありました」
 ヨンの静かな口調と固い表情に、ウンスはゴクリと唾を飲む。
//////////////////////
「その火事で、二十四名が焼死しました。重臣、学者、貴族。亡くなった者た
ちの身分や職はさまざまでしたが、皆、徳城府院君キ・チョルと対抗して、新
しい王を支えようとしていた人々でした。彼らは、出入り口を塞がれた状態で、
外から火を放たれて焼け死にました」
 チョナをお迎えして高麗を再興させるのだと、意気揚々と語っていた方々は、
生きながら焼かれ、慶昌君を擁立しようとした謀反の輩という汚名をその骸に
着せられた。徳城府院君キ・チョルに異を唱えれば、命の危機を呼ぶことは承
知していたが、よもや自分たちが謀反の罪を被るなどとは夢にも思わなかった
だろう。
「誰が、何のためにやったのかを調べるようにとチョナから仰せつかりました。
焼け跡を調べ、床石の下から端が焼け落ちた一枚の紙を発見しました。その紙
に記されていた内容については、今は申しませんが、吐いたと思しき血も付い
ておりました」
 ヨンが話し終えるのをまって、ウンスがすぐさま疑問の声を上げる。
「全員焼死だったはずじゃ?」
「そうです」
「じゃ、どうして血を吐いた跡が付いているの?救命救急にいた頃に、火事に
遭った患者を診たことがあるけど、火傷や一酸化炭素中毒、喉を火傷したこと
による窒息がほとんどだったわ。そりゃ、逃げる時に慌てていて骨折したり、
ガラスで切ったりする患者もいたけど・・・血を吐くって、どういう状況だっ
たのかしら」
 ヨンから話を聞いて、最初はやはりショックを受けたウンスだった。生きな
がらにして焼かれた状況を思い浮かべて動揺した。それでもヨンの言葉通りに
状況を追っていくと、何だか腑に落ちない展開になり、それで却って冷静に考
えられた。
 その言葉に、ヨンとチャン・ビンが顔を合わせる。『やはり医仙だ』と。ウン
スの問いかけに、ヨンが答える。
「私も腑に落ちませんでした。建物は大梁が落ちるほどの大火でしたが、床石
にあったその紙は端が焦げただけで済み、その紙には、あたかも死に瀕したも
のが吐いたような血が付いていた。そして、どういうわけか、書かれた文字の
筆の運びが、徳城府院君の手下と瓜二つだったのです。それで御医に紙を見せ
たのです。焼け死ぬ者が血を吐くこともあるのか、御医の意見を聞こうと思い
ました」
 ヨンがチャン・ビンを見つめて頷くと、チャン・ビンが話を引き取る。
「テジャンから紙を見せて頂いたとき、「これが人間(ひと)の血ではなく、鶏
の血ならば?」、ふとそんな考えが頭をよぎりました。血の匂いが鶏肝(けいか
ん:鶏の肝臓を干したもの)という漢方の薬材と似ている気がしました。匂い
の違いを明確に説明するのは難しいですが」
「経験からってことですか?」
 ウンスがチャン・ビンの言わんとすることを察すると、チャン・ビンが頷く。
「それで、ムカデを使って試してみることにしました。ムカデを捕る際に、鶏
の血を撒いておびき寄せると聞いたことがありましたので」
 チャン・ビンは、先ずチョナに生きたムカデを購(あがな)いたいと書状で
願い出た。理由は、迷った末に「漢方薬を作るため」と記した。密旨の血につ
いては、あくまでも己の推理の段階にあるため、いたずらに御心を乱すことは
避けたかった。
 漠とした内容のため、お許しが出なければテジャンから頼んでもらうつもり
でいたが、ほどなくして許しが出る。アン・ドチから聞いたところによると、
ムカデは人を死なせるほどの猛毒ではないことを踏まえたうえで、御医が望む
のであればとのチョナのご判断だったようだ。
 チャン・ビンは、入手した十匹のムカデを使って習性を調べた。自らの推理
が合ったことを確認したうえで結果をテジャンに報告し、ムカデはテジャンの
手へと渡る。
 その後については、ヨンが語った。チョナが典醫寺を訪ねて来られた夜、密
旨がねつ造されたものであることを、ムカデを使って証した。いずれ、事を企
てた者自らがチョナの御前に現れると告げ、その際に必要になるからとムカデ
を引き渡す。
 ヨンの言葉通り、翌日の夜半に徳城府院君キ・チョルがチョナの前に現れ、
「自分がチョナのためにやった」と言ってのけ、あまつさえ褒美として医仙を
要求したという。チョナは、キ・チョルと対峙した際、文箱にムカデを潜ませ
ていらしたそうだが、それを出すことはなかったと。
 ムカデは、そこでお役御免となる・・・はずであった。用済みの際は御医に
渡してくれとヨンが予め伝えていたので、アン・ドチが典醫寺にムカデを持っ
てきたのだが、チョナからの文も携えていた。
<指示があるまでは、生かしておくよう>
 文には、それだけしか書いてなかった。どのような御心づもりなのかは判ら
ないままに、仰せの通り典醫寺でムカデを世話することにした。その後チョナ
からは何の沙汰もなく日が過ぎていく。よもや、お忘れになられているのでは
ないだろうかと思ったころ、唐突にアン・ドチが典醫寺へと訪ねてくる。
 文箱にムカデを入れて渡して欲しい、チョナとワンビママがお待ちなのだと
言われ、チャン・ビンはすぐに用意をした。ムカデは二匹でいいそうだと、チ
ャン・ビンの背後からトチが声をかける。
 渡した文箱は、その日のうちにチャン・ビンの手に戻された。
<ご苦労だった。用は済んだ。あとは御医の好きにせよ>
という言伝とともに。
「ふふっ」
 それまでヨンとチャン・ビンの話を黙って聞いていたウンスが、幸せそうに
笑う。
「イムグムニムは、ワンビママに見せたかったのね」
 どこか独り言のようなウンスの言葉に、ヨンもチャン・ビンも黙って頷く。
振り返ってみれば、ワンビママの振る舞いはチョナを慮るあまりの無茶な行動
だったのだと、今ならチャン・ビンも合点がいく。
 ヨンは、しばらく前にチョナが仰った言葉を思い出していた。
「テジャンが他言無用と言わぬ限りは、全ての事柄をワンビにも話すつもりで
す。この先、私が嘲笑されるとしても、死に至るとしても、それを共に受けね
ばならぬ人です。何も知らされぬまま、そのような目に遭わせたくはない」
 そんな思いをずっと前からお持ちだったこと、そのような間柄になりたいと
願われていたこと、そして、願い叶ったことを知ったヨンだった。

<つづく>

話の向かう先は見えてて、めっちゃ簡単な筋立てなのに、
そこに至るまでの過程がやたらと長くて(汗)
長くなっていくほどに、矛盾が出てきている気もして不安ですが・・・
目をつぶって先に進むことにします。
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コメント
この記事へのコメント
おはようございます♪

ムカデが典醫寺になぜいたのかっていう背景を書くために・・・
めっちゃ説明っぽい内容になりました(汗)
これ・・・読んでてどうなんだろう?と心配になって何度か
書き直したんですが、それでもやっぱり理屈っぽい感じが抜けず(-"-)
諦めました。
今回は説明口調でいこうと。
ヨンとウンスが(またもや)完全に脇に回った回でした。
で、次はどうなんだっていうと・・・なんかやっぱり説明っぽく
なるかも(笑)

パソコン使って書いてると、変換したら「そう読むのか!?」って
漢字が出てきます。
あれもそうで・・・ちょっと使ってみたかったの(てへっ)

二次に関しては、わたくしめは後輩でござりまする。
書き始めてから一年ちょっとなので・・・幕の内にあがった
ヒヨッコ力士でございます。
ぶつかり稽古(コメントのこと)、ごっつぁんです!

連載ってジレンマですね(痛感しております)
この経験が次に活かせる・・・はずと信じて筆を進めて参ります。

本格的な寒さの到来です。
師走でいろいろと雑事も増えてくる今日このごろ。
お身体ご自愛くださいね。
私も隊長管理、気をつけます。

ありがとう、しんさん♡

2015/12/07(月) 05:01 | URL | おりーぶ #-[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015/12/06(日) 10:28 | | #[ 編集]
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