ドラマ「信義」関連の記事を更新しています。「韓国には行ったことがありません」からブログタイトル変更しました。
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 再び、妓楼の一室。

「ヨンス」
「・・・はい」
 呼ばれて初めて、物思いから覚めた様子だ。返事が遅れたことには触れず、トル
ベはその場にゴロンと横になって片肘をつく。
「待ちくたびれた。オレは寝て待つから、テジャンが来たら合図しろ」
「・・・チョジャン」
 寝転んで目を閉じたトルベが呼びかけに応じて目を開く。
「なんだ?」
「・・・いえ、何でも」
 不機嫌な物言いだが、目は真っ直ぐにヨンスを見返していた。何か言いたげに口を
開きかけたヨンスだったが結局言葉にはならず、再び口元をきゅっと結んだ。そして、
すっくと立ち上がると、部屋を出て内廊下に立つ。
「あの、見張りなら私が・・・」
 トクマンが慌てて名乗りを上げる。平時であれば、一番年下の自分が仰せつかる
役目だ。
「なあ、トクマン。チョジャンがああ言ってるんだ。ヨンスに見張ってもらおう」
 立ち上がりかけたトクマンを、ウンソプがやんわりと制する。ウンソプは二人の
気配から何か訳があるのだと察したようだった。二人の会話を背中で聞いていた
トルベは、しばらくしてから、のっそりと身体を起こすと、元の姿勢に戻る。
 驚いたトクマンはウンソプに表情で問うが、事情を知らないウンソプは「さあな」
とばかりに頭を振るだけだった。
 トルベの口唇から嘆息が漏れる。
『ざまはない』
 だが、それが男というものだ。みっともない話だが、惚れた女に袖にされれば、
男は無残で惨めな姿をさらすのみだ。物事にあまり動じないヨンスだったが、色事
に関しては並みの男同様、いやそれ以上に受けた傷が大きかったようだ。今はその
ことを突き詰めて考えるよりも、何か役目を任せて没頭させたほうがいい。そう
思って、奴に嘘の見張り役を割り振った。
『オレも何度そうなったことか』
 トルベは目を閉じて、胸にしまっている巻物を頭の中で広げてみる。女たちとの
遍歴を記した<トルベ秘録>で当時を振り返っては「うんうん」と何度も頷いて、
やがてヨンスのことを失念する。

<つづく>

久しぶりの更新です。

夏風邪引いてました(あははは・・・はぁ)
風邪薬飲むと6時まで寝ちゃうんで、作業時間がなくて。
今日から復活です。( ̄▽+ ̄*)
並んで歩いているはずが、気がつくといない。
見れば、道端にしゃがみこんでいた。
「ねえ、たんぽぽよ」
「・・・(見ればわかる)」
実をつけた植物があれば、「食べられるかしら?」と立ち止まり、
花が咲いていれば、「なんて花なの?」と聞いてくる。
度々の問いかけに少々うんざりしたヨンは、石と岩だらけの荒涼とした
道はないものかと、真剣に辺りを見回す。
「ふふふ」
ウンスは嬉しそうに笑うと、たんぽぽを一本だけ摘んで立ち上がって、
それを空にかざす。
「わー、見て見て。今日は雲一つないいいお天気」
片手でたんぽぽを掲げたままで、ぐるりと一周する。
「危ない」
足の軸がフラフラしているので、ヨンはウンスの二の腕を掴んで支える。
「ありがとう」
ようやくこちらに関心が向いたことで、先ほどまでの苛ついた心が
途端に穏やかになる。

ウンスは、しばらくそれをかざしたままの姿勢で空を見上げていた。
「何をしている?」
「たんぽぽを、空と太陽に見せているのよ」
「空に?」
「ええ。あなたたちのおかげで、地上にはこんなに可愛い花が咲いている
 のよって。それに・・・」
「それに?」
「そうね・・・『亡き人たちに捧ぐ』ってところかしら」
伝えたいことがようやく言葉になって、ウンスが微笑む。
「亡き人・・・」
「そう。『届け、届け。あの世まで届け!』って」
今は亡き人たちが少しでも心安らぐように・・・ウンスは、鎮魂の思いを空に向ける。

「共に」
その言葉と同時にヨンがウンスの背後に寄り添い、ウンスの腕に手をからませて
支えてやる。
垣間見えたヨンの瞳は静かで、ウンスは安堵する。

ヨンとウンス。
同じ空の下。
二人はしばらく空を見上げていた。

たんぽぽ
by:Vince Alongi さん


キム・ジョンハク監督に捧ぐ
(監督の命日に寄せて・・・)
「ミョンファには、欲しいものがありました。妹が春に嫁ぐことになり、その祝い
として髪飾りを贈ろうとしたのですが、手持ちが足りず、諦めて宮に戻ろうとした
ところで私を見つけて声をかけたそうです。私を許婚に仕立てて、かなり値を抑え
ることが出来たのですが・・・やはり、少しばかりは」
「用立ててやったのか?」
「はい。俸禄を頂いたら返すと約束してくれましたし、こちらもようやく良いもの
に巡り合いましたので」
 店主は色違いだと言っていたが、趣は全く異なっていた。赤いほうは飾り紐と布
で大輪の花を模して、花芯には小さな赤い珊瑚が使われており、白いほうは飾り紐
を結い合わせて小花に見立て、花芯には白蝶貝があしらわれていた。
 決めかねて一度は店を出たものの、ミョンファに「あれは丁寧な拵えで、大変な
値打ちものですよ」と言われ、すぐに戻って手にいれた。値は張るが、良いものを
買ったと会心の笑みを浮かべていると、トルベが嘆息する。
「おい、オレの有能な右腕はどこに行った?」
 ヨンスが緩めた口元を慌てて引き締めるが、もう遅い。
「嘆かわしい。いいように使われやがって」
 言葉は荒いが、大事に至るようなことではなかった安堵から、顔つきは優しかった。
『ヒョンに似てきたのかもしれない』
 共に行動していると、雰囲気が似てくるのだろうか。困った女を自ら引き寄せて
いるような気になる。
『女難の相は、似たくはないのだが・・・』
 そんな風に考えて深刻な顔を浮かべるヨンスを、トルベは反省の色と見せている
と思い込んだ。
「反省しているならもういい。こういうことは、これきりにしてくれ。オレもウォル
も寿命が縮んだ」
 その場限りのこと故、自分が大仰に否定しなかったことで、二人に要らぬ心配を
かけさせた。
「申し訳ありませんでした」
 ヨンスの真摯な詫びに、トルベもそれ以上の小言はやめておく。マンネのトクマ
ンなら、くどくどと説教してやるところだが。
「いいさ。もうこの話は済んだ。戻ろう」
 来る前よりも足取り軽く、トルベとヨンスは兵舎へと戻る。 
「あー、やれやれまったく」
 トルベの呟きを、ヨンスはさりげなく聞き流す。

 それが事の始まりだったのだと、このときのトルベとヨンスは知る由もない。

<つづく>
 その日、ヨンスは大通りの店をいくつか見て回っていた。
『ホンイに似合う小物』
 心の但し書きにはそれしか書かれていないのに、そのたった一つのことを叶
えてくれる品が見つからず、途方に暮れていた。
「なかなか、難しいものだな」
 ヨンスが、台に並べられた髪飾りをじっと見つめつつ、ため息混じりにつぶや
く。すると、
「何が難しいのですか?」
 と、少し前から隣に居た女が唐突に話しかけてきた。驚いたヨンスが視線を
向けると、そこに見知った顔があった。ミョンファだった。ミョンファはヨンスが見
ていた髪飾りのほうにしばらく目を留め、やがて視線をヨンスに戻す。
「別に。では、これで」
 ヨンスは、さっさと店をあとにする。これと思う品がなかったことと、知り合いに
出会ってしまった気まずさから足早に立ち去ろうとしたヨンスに、
「ねえ!もし!」
 と、ミョンファが声をかける。立ち止まることなく、無視してそのまま行こうとす
るヨンスの背中に、ミョンファは声を張る。
「私、良い品を扱っている店を知っております」
 その言葉に、ヨンスの足の動きが段々と鈍くなり、やがて立ち止まる。
 振り向いたヨンスに、ミョンファはにっこりと笑う。

「それで?」
 トルベが促す。
「ミョンファがその店まで案内してくれました。そこで品を見ているうちに、いつ
の間にか私はミョンファの「許婚」になっていました」
「はぁ?」

<つづく>