ドラマ「信義」関連の記事を更新しています。「韓国には行ったことがありません」からブログタイトル変更しました。
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   慈雨 ~ほぼ信義~ アメブロにて二次小説の記事を更新中です。  
 
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「テジャン、遅いですね」
 トクマンの声で、トルベは物思いから覚める。
 顔をあげると、いつの間にか皆目を開けていた。店に入るなり別れたままのテジャン
を心配している声音に、
「そりゃあ、遅くなるだろう。考えてもみろよ。テジャンは妓生になった医仙に会って
るんだ」
 トルベが心配することなど毛ほどもないとニヤリ笑う。
 テジャンは医仙に会いに来たのだ。会うことが叶わなければ、焦れたテジャンが
とっくにひと騒ぎ起こしているだろう。会えば会ったで、医仙の妓生姿に目がくら
んで、話どころではないだろう。お二人の傍に長く仕えていれば、自ずとわかることだ。
 同意を求めて皆を見るが、なぜか呆れた顔をされる。
「おい。命が惜しいなら、その頭の中の絵図を今すぐ墨で塗りつぶせ」
 同い年のウンソプがたしなめる。チョモとトクマンも「やれやれ、まったく」と
首を振る。どうやら、組んず解れつの絵図を頭に思い浮かべていたと思われたらしい。
日頃の行いがよろしくない所以だった。
「おい、オレはだな・・・」
「(グーキュルルル)」
 トクマンの腹の音が、トルベの反論を絶妙の間合いで遮る。隣に座っていたら一
発頭をペシンと叩いているところだが、トクマンは末席に座っていて手が届かない。
申し訳なさそうに首をすくめるので、ぶん殴る真似だけにしておく。
「喋ると腹が減る。黙ってテジャンを待とう」
 「誰が最初に口を開いたのだ」という視線が矢になって飛んでくる前に、トルベ
はさっと瞼を閉じる。
 軽口を言い合うほど、この場所は殺気とは縁遠い。気を研ぎ澄ませても、怪しい
物音や気配は感じられない。それでも、テジャンが来るまでは神経の糸を適度に張って
おくことを忘れない。
 今頃テジャンは、オレたちを呼んだ理由を医仙から伺っていることだろう。ひと
働きするならば、その前に飯を食っておきたいものだ。再び腹の虫が鳴るのをなだ
めすかしながら思っていた。
『そうだ』
 ふと気になって薄目を開け、隣のヨンスを窺う。
 話の輪にも入らず、先ほどから押し黙ったままのヨンスに気づく。振り返ってみ
れば、兵舎を出たときから浮かない顔つきだったことを思い出す。ヨンスは、深く
考えこんでいるらしく、こちらの視線に全く気づかない。思い悩むその横顔はテジ
ャン、そして自分の次に女たちが振り返るほどの端正な造りをしていた。
『・・・ヨンス』

 トルベは、ヨンスの沈鬱の理由を知っていた。


<つづく>

また後日~
ウダルチを長い間放置していたので、罪滅ぼしのために
登場シーンが多めです(笑)
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 トルベたちは、案内された部屋で静かに待っていた。

 最初は、丸茣蓙(ござ)にきちんと座っていた五人だったが、そのうち足を組
んだり、立膝になったりと、思い思いに楽な体勢に換える。トルベは、目を閉じ
て胡坐に組んだ足の上に拳を置いていた。
「お連れ様を後程こちらにご案内致しますので、しばらくお待ちくださいませ」
 部屋まで案内してきた女が、その言葉を残して去ったのはかなり前のことで、
五人は、いささか気詰まりになっている。
「腹が減ったな」
 目を閉じたままでトルベがぽつりとつぶやくと、腹の虫がキュルルと誰よりも
早く哀しげな相槌を打った。兵舎にいたなら、とっくに飯にありついている頃合
だった。
「全くだ」
 ウンソプが、目を閉じたままポツリとつぶやく。
 客が部屋に入るとすぐに酒が運ばれてきて、それで喉を潤しながら肴をつつ
いているうちに、お待ちかねの蝶たちがヒラヒラと登場する。それがトルベの知
る妓楼というものだが、今自分たちが座っている前には膳の影も形もない。見
目麗しい蝶たちも一向に来る気配がなかった。
「妓楼であって、妓楼ではない」
 テジャンが言った禅問答にも似た言葉を思い出して、トルベは納得していた。

 テジャンが師叔と呼ぶスリバンの親爺と会った直ぐ後のことだった。
「お前たち」
「はっ」
「スリバンからの報せだ。「医仙の無事を確かめた」と」
「おおっ」
 トルベたちは、安堵で顔がほころぶ。
 医仙は、店に晴れ着を取りにいったまま戻らず、その後「妓楼にいるから遊
びに来てくれ」とテジャンに文を寄こしたそうだ。医仙は、徳城府院君に狙われ
ている御身。それ故、さては奴がまた奸計を弄してテジャンと医仙を苦しめよう
としているのではないかと気が気でなかった。
『テジャンもさぞご安心だろう』
 そう思ったトルベが顔色を窺うが、テジャンの顔色はさほど変わっていなかった。
『ご自身で確かめぬ限りは落ち着かぬか』
 トルベが「うんうん。そのお気持ち、わかります。わかりますよ。テジャン」と
一人頷いていると、テジャンと視線が合う。拳が来るかと思わず身をすくめたトル
ベだったが、拳は飛んで来ない。
「報せがもう一つある」
「はい」
 チョモやトクマンたちは、キリッと顔を引き締めて姿勢を正す。トルベもすくめ
た身を慌てて伸ばした。
「目当てはお前たちだ」
「・・・!」
 ヨンは、自分を取り囲んでいるトルベたちの動きを、さっと目を走らせて確か
めるが、身に覚えのある者や後ろめたさに目を逸らすような者はいなかった。
「妓楼の主は、まず医仙が自分の店に来るように仕向け、その上で医仙にお
前たちを呼び出してくれと請うた。これが、お前たちが医仙に呼ばれた理由だ」
「テジャン、そいつは一体なぜ我らを?」
 一転して険しい顔つきになったトルベが問う。
「オレもお前たちに問おう。この顔ぶれに心当たりはあるか?」
 五人がお互いに顔を見合わせる。
 家門、歳、階級、属している組、得物、どれとして五人とも同じものはない。非
番の日に余暇を過ごす面子でも勿論なかった。見た目で考えれば、皆同じ背
格好と言いたいところだが、トルベだけが他の四人よりも背が低かったのでそ
れも当てはまらない。
「わかった」
 直ぐに思い当たらない。つまり、それが答えなのだ。
『なぜ?』
 狙いが見えない相手への不安がトルベたちの胸にたちまち広がり、重い空気
に包まれる。
「用向きはオレにもわからない。だが、ユ・ウンスはお前たちと同じウダルチだ。
お前たちに害が及ぶ話であれば、端から手を貸したりなどしない。それだけは
確かだ」
 組んでいた腕を解き、チェ・ヨンがフッと笑みを漏らす。
『そうだろう?』
 期せずして漏れた、そんなテジャンの同意を求める表情に、トルベたちはよう
やく覇気を取り戻す。
「はい!」
「それと、今から行く妓楼は、妓楼であって妓楼ではないゆえ、慎むように」
「・・・はい」
 皆が頷いたのを見届けたヨンは振り返って歩き出す。その後ろ姿について歩
きながらトルベは隣を歩くウンソプに小声で囁く。
「なあ、さっきテジャンはオレを見て言ったのか?」

<つづく>
一日遅れのアップとなりました。
申し訳ありません。
あと前半の内容も少しアレンジしています。
くまみやさんの画にお話を書かせて頂きました。

画像はこちら

 『花』

真夜(まよ)のない、光溢れる天界で、
その花は咲いていた。

天上の世界だ。
数多(あまた)の花が百花繚乱に咲き誇っていただろう。
けれど、俺にはその花しか見えなかった。

花を・・・手折った。
懐に抱いて下界へ降りた。

無理やり連れてきた下界で、花は驚き、
花は慄(おのの)いて、見る間に萎れた。

全ての責は俺にある。
手折ったのは俺だ。
罵られてもいい。蔑まれてもいい。

だから、どうか・・・
前のように笑ってくれ。
お前の笑った顔が見たいんだ。

花は・・・
花は・・・俺と生きるのだという。

花は俺が傍にいなければ枯れてしまうという。
俺は花がいなくても生きていけると答えた。

いいえ。
貴方も私が傍にいなければ生きながら死ぬのよ。
花はそう言った。

貴方がいる場所が私の生きる世界なの。

水底の見えない濁った水でも、光が届かない闇でも
そこが貴方の生きる世界だというなら、私は貴方の
心を抱いて、そこでちゃんと咲いてみせるわ。







花が咲く。
凍える水に足を浸しながら、冷たい風に身体を
揺さぶられながら。


それでも花は、幸せそうに笑いながら花弁を広げる。
俺は微笑みながら、花の前に立ち、風を受ける。





生きていく。
この世界で、この場所で、共に生きていく。
 ヨンは、ウンスの唇に軽く触れる。
『ああ・・・』
 その柔らかい心地は心に刻んだ通りのもので、合わせた唇から得も言われ
ぬ震えが全身を伝う。その震えが、身体の奥底でくすぶっていた情欲の熾火に
到達した瞬間、勢いよく炎が燃え上がり始める。
 ヨンは、ウンスの唇が冷たいことに気がつく。と同時に、唇を強く押し当てていた。
『温める』
 それしか頭になかった。
 やがて、ヨンの温もりがウンスの唇に宿る頃、ヨンは自分がウンスの二の腕
を掴んで、覆い被さっていることをようやく知ることになる。
 ヨンが唐突にキスをやめる。少し遅れてウンスが目を開ける。
『?』
 突然のことで戸惑ったウンスが、問いかけの眼差しを送る。ヨンは、ついと目
を逸らすと、ややのけぞるような体勢だったウンスを起こして掴んでいた二の
腕から手を離す。そして、自分の腕にかけられていたウンスの手をそっと外す。
「王宮に戻ります。支度を」
 視線を合さぬよう、つぶやくように言うと、ヨンはウンスの着替えのために部
屋を出ようとする。ウンスは、さっきのキスの余韻とその後の戸惑いからまだ抜
けだせず、言葉がすぐに出てこない。それでも何とか返事をする。
「ああ、ええ・・・でも、待って。私たちだけで帰るの?ウダルチの皆は?」
 戸口に身体を向けていたヨンが、ウンスに向き直る。
「共に帰ります」
「それは困るわ。せっかく呼んだのに・・・」
 すぐさま異議を唱えたウンスの反応に、ヨンは師叔の話を思い出す。
「イムジャは、ウダルチを呼び出すことに手を貸した。脅されてそうしたのでは
ないということは、あいつらの身に危険が及ぶ話ではないと判断しました」
「それは、そうだけど・・・」
「誰ですか?」
「え?」
「そいつだけ、もしくはそいつらだけ置いて帰ります」
「・・・」
 取りつく島がない。ウンスはアプローチを変えるために、まず自分の気持ちを
フラットな状態にしようとフーッと大きく息を吸って吐く。それから、ヨンをじっと
見つめる。見つめられたヨンは、ふいと目を逸らす。読まれたくない気持ちがあ
るようだ。

『もう少しで・・・』
 もう少しで前後の見境もなしに、その場に押し倒してしまうところだった。衣を
まとわぬ二の腕を何のためらいもなく掴み、そのことにも全く気づかないまま口
づけに没頭し、あまつさえ、押し倒そうとしていたのだ。
 思えば、ウンスが部屋に入ってきたときから、それは始まっていたのだ。
『ここは王宮でもなければ、兵舎でもない』
 呼ばれない限り、主らは部屋の戸を叩くこともないだろう。誰も、そして何も止
めるものがない。今この場に於いては、枷(かせ)となるものが何もない。ヨン
は、ウンスを欲しがる心を解放した己の欲の強さに慄(おのの)いていた。

「ねえ、顔を上げて」
 呼ばれて我に返る。考え込んでいる間に、ウンスが目の前に立っていた。ウ
ンスはヨンの顔をじっと見ると、
「やっぱり」
 と、したり顔で微笑む。
『何が?』
 目で尋ねるヨンに、
「じっとしてて」
 と言いながら、ウンスは手を伸ばす。ヨンはその手が顔の前まで伸びてきた
ところで、反射的に手首を掴む。
「何を?」
「痛いわ」
 言えば触らせてくれないだろうから、ちょっと大げさに訴えてみる。案の定ヨン
はすぐに手を緩めて、離してくれた。ウンスは、さっと手を伸ばしてヨンの唇に
指で触れる。
「私の口紅がついてるのよ」
 指の腹でゆっくりと唇を撫でる。唇をなぞる指の動きに、たまらずヨンがウン
スの手首を掴む。
『振り払われる』
 ツキンと胸の痛みを覚えたウンスだが、抵抗はしなかった。
「あっ」
 瞬間、声が漏れていた。
 手首を掴んだヨンの大きな手が優しくウンスの手の甲を這い、ヨンの手が重
なる。ヨンは目を閉じて、ウンスの指に口づけする。その様子を見つめている
ウンスの目が艶を帯びる。
 唇はゆっくりと指を滑り、手の平へと到達する。滑っていく合間に漏れる、濡
れた音が耳に届く。それだけで、ウンスは立っていられなくなる。
「カシャン」
 遠くで何かが割れる音がした。ヨンが動きを止めて耳を澄ませる。ウンスは半
ば夢の中にいるように、ぼんやりとヨンを見ていた。
「おい!」
 しばらく後に耳に届いたのは、トルベの険しい声だった。

<つづく>

お、お待たせしました。
お待たせしすぎて・・・本当に申し訳ないです。
展開に悩んで悩んで、ただ日々がすぎていきました。

年越し企画が半年近くかかっているというこの事態。
年またぎ企画にならないように祈るばかり。
あと二回ぐらいで終われるといいなぁ(希望的観測)

あ、キスシーンは参考にした画像ありました。
詳しくは「なう」を見て頂ければ(笑)

 ※「なう」はFC2の機能ではないので・・・
   ここを見て頂ければ・・・(注意:ドラマブログのページに飛びます
     ⇒そしてヨンと〇○のキスシーンへと飛ぶのでございまする)